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木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.1 『義経千本桜』は、いわば義経の〈“都落ち”ロードムービー〉

2016/05/04


 

木ノ下裕一160429

 
はじめまして! 「木ノ下歌舞伎」木ノ下裕一です。
このたび、新しく連載をはじめさせていただく運びになりました。毎月、これから上演される歌舞伎の演目にちなみ、私が取り憑かれている〈歌舞伎の魅力〉についてあれこれ勝手放題に書き連ねていこうというのが本コラムの趣向です。できるだけ、鑑賞に先立って押さえておきたい〈ツボ〉ははずさないように書きたいと思っておりますが、人それぞれ笑ったり泣いたりする〈ツボ〉が違うように、それとて、たかが私の個人的な〈ツボ〉でしかありませんから、すぐに役立つ「how to 歌舞伎鑑賞」にはならないかもしれません。けれど、即効力はなくても、あとあと少しずつ効いてくる、〈隠れたツボ〉を押さえた指圧のようなコラムを目指すつもりでおります。よろしければ、お付き合いくださいませ。

 
さて、今回採り上げるのは、六月大歌舞伎(歌舞伎座)で上演される『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』

もとは人形浄瑠璃(文楽)初演の演目ですが、早くも翌年には歌舞伎が輸入しました。現代でいえば、アニメの人気作がすぐに実写化されるようなものですね。それから約270年、ほとんど途絶えることなく上演されています。
まさに歌舞伎が誇るヒットナンバーです!

 
『義経千本桜』は、
いわば義経の〈“都落ち”ロードムービー〉

さて、外題(タイトル)を見ておわかりの通りこの物語の主人公は、一応「源義経(みなもとのよしつね)」です。“一応”と書いたのは、場面によっては、主人公・義経の影がものすごく薄い…もはや、登場すらしない幕もあったりするからなのです。なぜなのか。それには少し説明が必要かもしれません。
この物語は、壇ノ浦の合戦で源氏が平家に圧勝したすぐあと、つまり源平合戦の戦後を描いています。合戦で輝かしい活躍を見せたはずの源義経。が、なぜか彼は兄の頼朝(よりとも)に嫌われて、なんと命まで狙われてしまう。もう都にはいられない!ということで、限られた家来を連れての逃避行がはじまります。そう、『義経千本桜』は、いわば義経の〈“都落(みやこお)ち”ロードムービー〉なのですね。

彼は、旅の途中で様々な人に出会います。源氏を怨み続ける死んだはずの平家の武将だったり、親と生き別れた謎の狐だったり…。とにかくみんなキャラが濃くて、主役然としています。いや、ほとんど彼らを主人公として物語が進行するんです。ですから、義経の影が薄くなる。そしてもう一つ、この物語は“群像劇”だということ。旅を続ける義経一行とは別に、一方その頃、こちらでは…というふうに、一見義経には関係のない場面が登場したりもします。ですから、ますます義経の影は薄くなります。

 
六月歌舞伎座では
『義経千本桜』を三部に分けて上演!

六月の歌舞伎座では『義経千本桜』の代表的な幕を三部に分けて上演されるようですが、一部ずつ、それぞれ「平知盛」「いがみの権太」「狐忠信」と三人の主要人物にスポットが当てられています。

第一部の「碇知盛(いかりとももり)」では平知盛(たいらのとももり)が登場します。知盛は、壇ノ浦ですでに死んだはずの平家の総大将。「え!なんで生きてんの!」という江戸時代の人々の驚声が聞こえてきそうな“トンデモ設定”なんですね。このあたりの真相は、芝居の前半に彼自身の口から語られます。さながら、ミステリー小説を読むような興奮が味わえますよ。その知盛と義経が再会し、再び戦を繰り広げます。史実とフィクションを巧みに織り成し、繰り広げられる「一大歴史活劇」です。

第二部では「いがみの権太」という、大和(現・奈良)の山村に住む若者が主人公。この男、ゆすりたかりを得意とする小悪党、つまり田舎のヤンキーなんですね。この権太一家が、源平の攻防の余波を受けて悲劇的な末路を辿ることになります。いわば「シリアスなホームドラマ」です。

第三部「狐忠信(きつねただのぶ)」はなんと狐が主役。義経の家来・佐藤忠信に化けた狐と義経が対面します。なぜ、この狐が、化けてまで義経たちに付きまとったのか、そこには大きな理由があるのですが、それは本編を見てのお楽しみ。人間と動物が織り成す「心あたたまる幻想劇」です。

 

<次のページ>
三人の主要人物たちに共通するのは、
〈“歴史”からは見捨てられている〉という事…

 

※関連記事
BUTAKOME 中井美穂×木ノ下裕一対談記事

 

■□■BUTAKOME☆Information ■□■
 

『六月大歌舞伎』

「義経千本桜」三部制で初上演!!

kabuki1609

〔公演日・会場〕
会 場:歌舞伎座(東銀座)
公演日:2016年6月3日(金)・16日(木)14:45、7日(火)・11日(土)11:00、8日(水)・12日(日)18:15

〔出演〕
松本幸四郎〈2部のみ〉、中村梅玉〈1部のみ〉、市川染五郎、市川猿之助、尾上松也 ほか
〔料金〕
一等席 15,000円 ⇒ 特別価格 14,500円
※4歳以上有料

■□■□ お申込み □■□■
※お申込みはチケットファン

 

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

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【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2017/11/12

📹【加藤和樹のエンタメCafe No.10】〈銀座エ..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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