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木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.5 歌舞伎座『十月大歌舞伎』~史上初の親子四人同時襲名!古典芸能好きにとって「襲名」ほどテンションが上がるものはない~

2016/09/10


 

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イラスト/木ノ下裕一

 
 巷では「ポケモンGO!」なるゲームが大流行とのことですが、かれこれ20年前、私の小学生時代はそれこそポケモン全盛期でした。当時、すでに落語狂いであった私は、教科書類をランドセルではなく風呂敷に包み、小脇には『米朝落語全集』を抱え、扇子と手拭いを握りしめながら、下駄履きで登校しておりました。昼休みには、無理やりクラスメートたちを聴衆にして一席披露することを何よりも生き甲斐に感じているという、はなはだはた迷惑な落語家気取りの小学生だったわけです。ちなみに登校のことを“楽屋入り”と称しておりました。授業中に、上方落語家の系図をノートに落書きしては喜んでいるような子供に、流行最先端のポケモンがわかるはずもなく、また、さほど興味もありませんでした。
 
 ある日、「そのゲーム、何がおもろいん?」と、お義理半分で、友達に聞いてみたのですが、親切な友達は、こう答えてくれました。
 
 「あんな、“ピチュ”が進化したら“ピカチュー”になんねん。そんでな、もっと進化したら“ライチュー”になんねん。レベルアップさせてくのが、おもろいねん」
 「ほう!米朝が米之助になって、米之助が米團治になるようなもんかな。なるほど、襲名させていくんやな!」
 「…なんや知らんけど、そんなもんやと思うわ。そんでな、自分で名前つけたりもできるねん」
 「ははー!“新名跡”も作れるんや!」
 「な、おもろいやろ」
 「うん!その襲名ゲーム、おもろそう!」

と、モンスター捕獲に血道をあげているクラスメートたちの気持ちがちょっとわかったような気がしたのでした。

何が言いたいかといいますと、古典芸能好きにとって、「襲名」ほどテンションが上がるものはないということです。我ながら回りくどい導入ですね。

 
アイドルが上るのは“まっすぐ伸びた孤高の階段”
子弟制度の古典芸能の階段は“螺旋状”

 
 古典芸能を見る醍醐味の一つは、演者(芸能者)とともに歳を重ねることができる、つまり、芸能者の成長や芸の深化を見守りながら、楽しむことができるという点でしょう。このあたりの心理は、ももクロやEXILEを応援するアイドルファンと似ているかもしれません。しかし、80歳のももクロやEXILEを容易に想像できるとは言い難い(後期高齢者になったももクロ、見てみたい気もしますが、きっとパフォーマンスの質や存在意義自体が変容してしまっていることでしょう)。その点、例えば、80歳の歌舞伎俳優が、20代の頃に初演した役を演じ続けているということはざらにあります。芸の寿命が長いぶん、観客である私たちも長く楽しめます。

 また、アイドルの成長は、“まっすぐ伸びた孤高の階段”を一段一段、頂点に向かって登っていくようなイメージでしょうけれど、かたや子弟制度の古典芸能の階段は“螺旋状”です。つまり、輪廻のように過去とリンクしながら進んでいきます。師匠の十八番だった演目を演じるとか、父親に芸や姿が似てくるとか、逆に師匠がやり残したこと果たせなかったことをやるとか、先人から受け継いだものを下の世代に伝えるとか…。古典芸能好きは、常に現在(いま)に、過去を重ね合わせながら、もしくは先人に想いを馳せながら、リアルタイムの舞台を観ているのですね。そして、膨大な時間の流れの中に身を置いているような気分に浸ることができるのです。ことに世襲制度が根強い歌舞伎において、この至福の螺旋構造がよりはっきり意識されるのが、「襲名」です。襲名披露興行とは、血のDNA、もしくは芸のDNAを受け継ぐという意思表明にほかなりませんし、先代の魂が当代の肉体を借りて蘇る復活祭でもあり、またそれを演者と観客が一体となって寿ぐ、一世一代の大祭礼でもあります。テンションが上がらないわけがありません。

 

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新・芝翫に、私たちは何を見ることになるのか

 

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中村橋之助改め 八代目 中村芝翫 中村国生改め 四代目中村橋之助、
中村宗生改め 三代目中村福之助、中村宜生改め 四代目中村歌之助 襲名披露

『十月大歌舞伎』

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撮影/ 荒木大甫

〔公演日・会場〕
会 場:歌舞伎座(東銀座)
公演日:2016年10月7日(金)・24日(月)16:30、
2016年10月13日(木)・18日(火)11:00

〔出演〕
橋之助改め芝翫、国生改め橋之助、宗生改め福之助、宜生改め歌之助ほか
〔料金〕
一等席 19,000円
※4歳以上有料

■□■□ お申込み □■□■
チケット発売中!
※お申込みはチケットファン

 
〔演目〕

 昼の部(=11:00 開演)

一、初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)

橋彦 / 国 生改め橋之助
福彦 / 宗 生改め福之助
歌彦 / 宜 生改め歌之助

 

二、女暫(おんなしばらく)

巴御前 / 七之助
舞台番 / 松緑
蒲冠者範頼 / 又五郎

 

三、お染 久松 浮塒鷗(うきねのともどり)

女猿曳 / 菊之助
お染 / 児太郎
久松 / 松也

 
河竹黙阿弥 作

四、極付 幡随長兵衛(きわめつき ばんずいちょうべえ)

「公平法問諍」

幡随院長兵衛 / 橋之助改め芝翫
女房お時 / 雀右衛門
唐犬権兵衛 / 又五郎
出尻清兵衛 / 松緑
伊予守頼義 / 七之助
極楽十三 / 国 生改め橋之助
雷重五郎 / 宗 生改め福之助
神田弥吉 / 宜 生改め歌之助
近藤登之助 / 東蔵
水野十郎左衛門 / 菊五郎

 

 夜の部(=16:30)

野口達二 改訂

一、歌舞伎十八番の内 外郎売(ういろううり)

外郎売実は曽我五郎 / 松緑
大磯の虎 / 七之助
工藤祐経 / 歌六

 

二、八代目 中村芝翫
四代目 中村橋之助
三代目 中村福之助
四代目中村歌之助
襲名披露 口上(こうじょう)

橋之助改め芝翫
国 生改め橋之助
宗 生改め福之助
宜 生改め歌之助

藤十郎
     他幹部俳優出演

 
一谷嫩軍記

三、熊谷陣屋(くまがいじんや)

熊谷直実 / 橋之助改め芝翫
相模 / 魁春
藤の方 / 菊之助
堤軍次 / 国 生改め橋之助
白毫弥陀六 / 歌六
源義経 / 吉右衛門

 

四、藤娘(ふじむすめ)

藤の精 / 玉三郎

 
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中村橋之助改め 八代目 中村芝翫 中村国生改め 四代目中村橋之助、
中村宗生改め 三代目中村福之助、中村宜生改め 四代目中村歌之助 襲名披露

『吉例顔見世大歌舞伎』

〔公演日・会場〕
会 場:歌舞伎座(東銀座)
公演日:2016年11月15日(火)・24日(木)16:30、
2016年11月17日(木)11:00

〔出演〕
橋之助改め芝翫、国生改め橋之助、宗生改め福之助、宜生改め歌之助ほか

〔料金〕
一等席 19,000円
※4歳以上有料

■□■□ お申込み □■□■
9月24日(土)10時から発売開始!
※お申込みはチケットファン

 
〔演目〕

 昼の部(=11:00 開演)

一、四季三葉草(しきさんばそう)

翁 / 梅玉
千歳 / 扇雀
三番叟 / 鴈治郎

 

二、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

粂寺弾正 / 染五郎
秦秀太郎 / 松也
腰元巻絹 / 梅枝
小野春風 / 萬太郎
八剣数馬 / 廣太郎
錦の前 / 児太郎
小原万兵衛 / 亀鶴
小野左衛門春道 / 門之助
秦民部 / 高麗蔵
八剣玄蕃 / 彌十郎

 
河竹黙阿弥 作

三、連獅子(れんじし)

狂言師後に親獅子の精 / 橋之助改め芝翫
狂言師後に仔獅子の精 / 国 生改め橋之助
狂言師後に仔獅子の精 / 宗 生改め福之助
狂言師後に仔獅子の精 / 宜 生改め歌之助

 
河竹黙阿弥 作
盲長屋梅加賀鳶

四、加賀鳶(かがとび)

本郷木戸前勢揃いより
赤門捕物まで

天神町梅吉/竹垣道玄 / 幸四郎
女按摩お兼 / 秀太郎
春木町巳之助 / 染五郎
魁勇次 / 松也
虎屋竹五郎 / 巳之助
磐石石松 / 尾上右近
お朝 / 児太郎
数珠玉房吉 / 国 生改め橋之助
御守殿門次 / 宗 生改め福之助
昼ッ子尾之吉 / 宜 生改め歌之助
道玄女房おせつ / 芝喜松改め梅花
おつめ婆 / 歌女之丞
伊勢屋与兵衛 / 錦吾
金助町兼五郎 / 男女蔵
妻恋音吉 / 松江
天狗杉松 / 亀蔵
御神輿弥太郎 / 友右衛門
雷五郎次 / 左團次
日蔭町松蔵 / 梅玉

 

 夜の部(=16:30)

真山青果 作
真山美保 演出

一、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)

御浜御殿綱豊卿

徳川綱豊卿 / 仁左衛門
富森助右衛門 / 染五郎
中臈お喜世 / 梅枝
中臈お古宇 / 宗之助
小谷甚内 / 松之助
上臈浦尾 / 竹三郎
御祐筆江島 / 時蔵
新井勘解由 / 左團次

 

二、八代目 中村芝翫
四代目 中村橋之助
三代目 中村福之助
四代目中村歌之助
襲名披露 口上(こうじょう)

橋之助 改め芝翫
国生 改め橋之助
宗生 改め福之助
宜生 改め歌之助

藤十郎
     幹部俳優出演

 
近江源氏先陣館

三、盛綱陣屋(もりつなじんや)

佐々木盛綱 / 橋之助改め芝翫
篝火 / 時蔵
伊吹藤太 / 鴈治郎
早瀬 / 扇雀
信楽太郎 / 染五郎
小四郎 / 左近
古郡新左衛門 / 秀調
竹下孫八 / 彌十郎
北條時政 / 彦三郎
微妙 / 秀太郎
和田兵衛秀盛 / 幸四郎

 

四、芝翫奴(しかんやっこ)

奴駒平 / 国 生改め橋之助(1日~9日)
     宜 生改め歌之助(10日~17日)
     宗 生改め福之助(18日~25日)

 

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連載☆エンタメコラム

2017/03/03

アダム・クーパー×中井美穂 スぺシャル対談 ☆ミュージカル『SING..

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)、「松任谷正隆のディア・パートナー」(FM東京)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2017/03/09

【動画📹 屋比久知奈&尾上松也 インタビュー】3月1..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2017/03/22NEW

📹【加藤和樹のエンタメCafe No.8】〈池袋エリ..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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