中井美穂のヅカヅカ行くわよ♪

ビリー・ハーリガン・タイ×中井美穂 スぺシャル対談☆ブロードウェイミュージカル『ファインディング・ネバーランド』

2017/08/04


 

ビリー・タイ

 
大事な人は気持ちの中でずっと生き続ける

 
中井:奥様(クリスティン・リース)も役者さんなんですよね。
 
ビリー:『ファインディング・ネバーランド』でメアリー・バリ役を演じています。
 
中井:舞台上で夫婦役を演じられると。私生活での感情が紛れ込んで、やりにくいということはありませんか?
 
ビリー:本作での彼女は僕に怒鳴ってばかりなんですよ(笑)。それはさておき、アメリカ各地を夫婦でツアーし、日本のような海外にも一緒に来られるというのはありがたいことです。でも仕事とプライベートがヘンに重なり合わないように、オンでもオフでもお互いの空間を尊重し合うように心がけています。
 

中井美穂

 
中井:舞台上でプロポーズしたって本当ですか?
 
ビリー:はい。当時の映像がYouTubeのどこかにありますよ。当時僕らは二人共、バンクーバー・シンフォニーのソリストだったんです。その関係でいろんな規約があって。だから、その仕事を受けた時にマエストロに「来年も一緒に仕事をしていたら、ぜひ舞台上でプロポーズをしたい。それは可能ですか?」と尋ねて、彼やシンフォニーからの承諾を得た。そうやって、根回しをすること1年。2009年の11月のことです。公演終了後のアンコール。ポケットに指輪を忍ばせて、まずスピーチをしました。アメリカ人としてバンクーバー・シンフォニーでパフォーマンスできることのありがたさを語り、家族が客席に来ているよと彼女に言って驚かせ、そしてプロポーズしました。すると、オーケストラがサプライズで《Moon River》を奏でてくれて。二人でダンスし、その曲は僕たちの歌になりました。あれは人生で一番緊張した瞬間でした。今も思い出しただけで緊張してしまいます……(苦笑)。
 
中井:ステキな思い出ですね。日本のお客様って、アクターがどういうバックボーンを持っていて、何を大事にしているかなど、その人となりを知りたいと思っている方が多い。そこでお聞きします。ビリーさんがご自分の人生を歩んでいくうえで一番大事にされているものは何ですか?
 
ビリー:家族ですね。今私がここにいるのも両親のおかげなので。僕が俳優になりたいと言った時、とても驚いていたのですが、100%受け止め、サポートしてくれた。演劇の高校に通っていた時、母は妊娠中だったにもかかわらず、自宅から学校までの1時間、毎日車で送り迎えしてくれました。当時、盲目的に演劇の世界に入り込んでいた僕を許し、受け入れることは親としてとても勇気が必要だったと思います。そんな両親のおかげで自分自身の道を切り開くことができ、本当にありがたいなと。
 
中井:『ファインディング・ネバーランド』は家族のお話。それも、親を亡くした子どもたちの物語です。
 
ビリー:その少年たちと交流を持つバリ自身、若かりしころに兄のデイヴィッドを亡くしているんですよね。洞窟の中で遊んでいた時にお兄ちゃんが転んで、叫び声を上げる。何が起こったんだろうとバリが思った時に妖精がいた。それがティンカーベルの誕生につながっていきます。バリが幼い子どもの時に経験したこと、感じたことが大人になって戯曲を書く原動力になっていった。中でもやっぱりお兄ちゃんの存在が大きく、まるで光をずっと追っていくような気持ちだったんだと思うんです。そして、お兄ちゃんを失った経験を持つバリだからこそ、父親を亡くした少年ピーターに寄り添うことができた。そんな彼らの姿を通し、例え愛する人がこの世を去っても、その人と自分はずっと一緒なんだという強いメッセージが伝わってきます。
 
中井:ほんとに、大人にこそ観てほしいです。大事な人を亡くした経験を持つ人には特に響く話だと思います。
 
ビリー:自分の人生に大きな影響を与えてくれた人っていうのは、物理的にいるかいないかにかかわらず、ずっと生き続けますよね。気持ちの中で。
 
中井:ところでビリーさんは今回初めてアジアにいらしたとか。
 
ビリー:はい。
 
中井:いらっしゃる前、日本に対してどんなイメージをお持ちでしたか?
 
ビリー:渋谷に代表されるテクノロジーの街とお寺や山、美しい自然といった二つの対比が素晴らしいなと。9月の公演の時には、日本の文化にできるだけ触れたいと思っています。それまで、日本でどんな体験ができるかとリサーチに努めます。映画も大好きなので、黒澤映画やジブリ作品も見るようにしているんですよ。
 
中井:来日公演に向けて、そんなに準備してくださっていることを知ったら、お客様も喜ばれると思います。
 
ビリー:僕も妻もずっと日本を訪れたいと思っていたんです。素晴らしい文化を知り始めたら、もっともっと知りたいと思うようになった。温泉も試したいですし、姫路城にも行ってみたい。公演期間中はほかの舞台を観に行くことは難しいですが、できたら歌舞伎も観に行きたいです。
 
中井:9月が待ち遠しいですね!
 
ビリー:はい。皆さん、ぜひ劇場でお会いしましょう。

 
 

構成・文/ 演劇ライター 兵藤あおみ
撮影/ 吉原朱美

 

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ビリー・タイさんとの対談後記

 

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

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【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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