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広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成29年5月分)<83>

2017/05/29


J亭白酒_0285

5月18日(木)、「J亭落語会 桃月庵白酒独演会」。
演目は以下のとおり。

桃月庵ひしもち『転失気』
桃月庵白酒『大山詣り』
~仲入り~
入船亭遊京『七度狐』
桃月庵白酒『厩火事』

ひしもちの『転失気』は、多くの前座の凡庸な『転失気』にはない面白さが随所にあった。こういう噺を面白く聞かせられるとはひしもち、只者じゃない。二ツ目になったら大いに伸びそうだ。

白酒の一席目は『大山詣り』。大山詣りの件で長屋の連中を集めた先達が、「女だけになると物騒だから残って睨みをきかせてくれ」と熊公頼むけれども「嫌だよ」と断わられ、仕方なく「本当のことを言うと熊さんには来てほしくないんだ」と、毎年の喧嘩騒ぎに閉口している本音を打ち明ける、というオープニングは志ん生の型。この長屋の場面で先達が「熊、お前は嘘をつくとき擬音が多くなる」と指摘、これが後半の「女房連中を集めた熊公が嘘をつく」場面に繋がる、というのは当然のことながら白酒オリジナル。こういう芸の細かさが白酒の素敵なところだ。坊主頭にされた熊を発見した女中の反応の可笑しさ、熊公が自分の頭を触って「これ誰のアタマだ!?」と狼狽える様子、「男たちは皆、遭難して死んだ」と聞かされた女房たちの嘆きっぷり等々、全編白酒ならではの可笑しさに満ちている。過剰に演出を加えることなく、持ち前の演技力とフラで『大山詣り』という噺の面白さのポテンシャルを最大限に引き出した逸品だ。白酒の「落語家としての地力」を改めて見せつけられた。

仲入り後はゲストの遊京。先日まで中国人に招待されて八十日間、中国を廻って来たそうだ。演じたのは上方落語の『七度狐』を江戸の二人旅に直したもの。亡くなった柳家喜多八が演っていたのを思い出す。遊京の師匠である入船亭扇遊は喜多八の親友だった。おそらく遊京の『七度狐』は喜多八に習ったものだろう。遊京の演じ方は生硬で未熟ではあるけれども、こういう噺を継承してくれる了見が嬉しい。

白酒のトリネタは『厩火事』。朝、女房が「シャケを焼いて食べよう」といったら亭主が「芋を煮てくれ」と言ったので喧嘩になった、というのは先代金原亭馬生の型だが、あまりにもくだらなくて、実にいい。談春の『厩火事』もこれだ。(ちなみに志ん朝は女房が芋を煮てたら亭主が「テメェくらい芋が好きな女もねェな」と難癖をつけて喧嘩になった) 旦那が「こないだあの野郎が一人で酒を飲んでたのを見て面白くない」と言うときに「刺身を一人前」じゃなくて「牛をつついて」というのも馬生の演り方だ。
白酒『厩火事』は、女房お咲の「めんどくさい女」っぷりが最高に可笑しい。別れちまえと旦那に言われたお咲が「でも優しいところもあるんですよ」とノロケ始めてどんどんエスカレートしていくところのバカバカしさは爆笑モノ。旦那の発言に対するお咲のトンチンカンな反応も、他の演者の『厩火事』とは一味違って新鮮だ。「唐土の孔子」を「幻の子牛」と聞き違えたりするセンスが白酒らしい。孔子の逸話を聞いて「焼けた馬はケトバシにして食べちゃうんですか?」と返し、麹町のさる旦那が「皿皿皿……と息もつかずに三十六ぺんおっしゃった」と聞いて「誰が数えたんですか?」と訊くお咲にイラッとする旦那の気持がすごくよくわかる。それでいて、家に帰って「ただいま……怒ってる?」と言うお咲が妙に可愛いくて、亭主が「怒ってねェよ」と言わざるを得ないのは、この夫婦の仲の良さを物語る心温まるヒトコマだ。あのサゲの亭主の一言があってもなお、この夫婦はホントは仲いんだな、と思えて後味が実にいい。白酒の演じる「めんどくさい酔っぱらい」が可愛いのと同じく、白酒の「めんどくさい女」もやっぱり可愛かった、という素敵な一席だ。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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2017/03/31

大ヒット上映中!!ディズニー映画『モアナと伝説の海』4DX/MX4D..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

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2017/03/22

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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