チケットファン

歌舞伎 落語

カテゴリー

最新記事

落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成29年9月 スペシャル3人会)<88>

2017/10/25


桃月庵白酒柳家三三春風亭一之輔J亭9月28日(木)、「J亭落語会 白酒・三三・一之輔 スペシャル3人会」演目は以下のとおり。

入船亭小辰『悋気の独楽』
春風亭一之輔『お見立て』
柳家三三『高砂や』
~仲入り~
桃月庵白酒『火焔太鼓』

今年いっぱいで虎ノ門JTホールでの開催が休止となるJ亭落語会。この会場でのスペシャル3人会はこれが最後だ。トップバッターは入船亭扇辰門下の二ツ目、小辰。妾宅に通う旦那に嫉妬する本妻が小僧の定吉にスパイをさせる『悋気の独楽』を達者に演じた。端正な口調とハジケた演技との振り幅に個性があり、その意味では師匠の扇辰に通じるものがある。辻占の独楽の場面で盛り上げてパッとサゲる、という当たり前のことができていない演者が意外に多いこの噺、小辰はそこをきちんと押さえていて好感が持てた。

続いて登場した一之輔はいつもの独演会同様、時事マクラで笑わせてから得意の『お見立て』へ。喜瀬川花魁が田舎者の杢兵衛お大尽を毛嫌いするあまり、喜助(若い衆)に「花魁は入院してる」と嘘をつかせ、お大尽が「見舞いに行く」と言いだすと「死んだって言え」と花魁は喜助に命じ、喜助は墓参りに行く羽目になる…というこの噺、一之輔は杢兵衛の田舎者っぷりを思い切りデフォルメして爆笑編に仕立てており、2014年9月のJ亭独演会でトリネタとして演じている。

『お見立て』は白酒も得意としていて、2012年4月に「白酒・三三・一之輔」の月替わり独演会形式でのJ亭がスタートしたことを記念して行なわれたスペシャル3人会では白酒が『お見立て』を演じていた。喜助が「花魁は死にました」と杢兵衛に告げるとき、白酒の場合は師匠の五街道雲助と同じく「扇子を脛の下に置いて座って体を揺すって脛の痛みで笑いを止め、お茶を目尻につける」というやり方だが、一之輔は「コヨリをこしらえて鼻に突っ込んでクシャミが出る寸前で止めろ」と喜瀬川に教わる。この、「クシャミの寸前で止める匙加減」を試行錯誤する喜助の可笑しさは「顔芸」を得意とする一之輔ならでは。杢兵衛の突出したキャラが印象に残りがちだが、杢兵衛や喜瀬川の強烈さを全身で受け止めてビクともしない喜助の強靭なキャラこそが、実は一之輔『お見立て』の面白さの肝なのである。ちなみに、この日の一之輔は、杢兵衛に「お前が手紙を寄越せばよかった」と言われた喜助が咄嗟の機転で嘘をつく場面(ゲジゲジが通ったので杢兵衛からの書付を燃やした、という言い訳)をカットしていたが、それも自然な流れで、それによって面白さが損なわれることはなかった。

続いて高座に上がった三三は短めのマクラを振って『高砂や』へ。大店の若旦那と材木問屋のお嬢さんの婚礼の仲人を頼まれた八五郎が隠居に羽織袴を借りに行き、「仲人ならお開きのときに謡曲の『高砂』でも披露するといい」と言われて「高砂やこの浦船に帆を上げて」という冒頭の一節だけだけ習って行く噺だが、豆腐屋の物真似で謡いを覚える場面に行く前に、八五郎がなぜ御大家の仲人を務めることになったかを隠居に語るところをみっちりと演るのは師匠の小三治が演っていた『高砂や』と同じ。柳家三三はこの八五郎とご隠居の会話の中に独自のクスグリをガンガン入れて笑わせる。この日は八五郎が自分の腕をバンバン叩いて「これこれこれ!」と自慢するポーズの繰り返しが無性に可笑しかった。

仲入り後に登場した白酒が演じたのは『火焔太鼓』。この噺はどれだけ志ん生のオリジナルギャグから離れることができるかが勝負だが、もともと志ん生のギャグだけで構成された噺とも言えるので、古今亭の伝統を活かそうとするとなかなかそれができない。立川志らくが『火焔太鼓』を独自にこしらえて談志に誉められたのは、志らくが寄席のしがらみの中に生きていないからだろう。白酒が凄いのは、噺の雰囲気としての古今亭のトーンは活かしながら、個々の台詞まわしにおいて見事に志ん生離れを遂げ、独自の爆笑編をこしらえたこと。特筆すべきは、カカァ天下の道具屋夫婦のバカバカしいほどの仲の良さ。このダメ亭主の可愛さは白酒にしか出せない。今、誰よりも白酒『火焔太鼓』が面白いと断言できる。この日はまた一段とキレが良く、ギャグの一つ一つがドカンドカンとウケ、爆笑また爆笑のうちに一気にサゲまで持っていった。観客と演者のノリがピタッと一致したときの、こういうドライヴ感こそライヴの醍醐味。お見事!

※画像およびテキストの転載を禁止します。

バックナンバー

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』リビング貸切公演

インタビュー

望海風斗

望海風斗

宝塚歌劇雪組トップスター・望海風斗さんインタビュー

一覧はこちら

BUTAKOME動画チャンネル

連載☆エンタメコラム

2017/09/17

【中井美穂のヅカヅカ行くわよ♪<番外編>】『謎の変奏曲』橋爪功さん×..

open

close

Profile

ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2017/11/17NEW

【速報】尾上松也さんが『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』..

open

close

Profile

1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2017/11/12

📹【加藤和樹のエンタメCafe No.10】〈銀座エ..

open

close

Profile

1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
【Official blog】 公式ブログ

2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

open

close

Profile

木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

クラシック音楽界のきら星たちに注目

NYから直送!「最新ブロードウェイミュージカルレポート」

ブタコメ編集部

関連サイト

  • LIVING COLLECTION
  • LIVING
  • CITY LIVING
  • あんふぁん
  • シュフモ
  • Lei wedding net