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落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成29年10月分)<89>

2017/11/01


J亭スペシャル_0843_210月12日(木)、「J亭落語会 春風亭一之輔独演会」。
演目は以下のとおり。

春風亭きいち『のめる』
春風亭一之輔『寄合酒』
春風亭一之輔『化物使い』
~仲入り~
春風亭一之輔『柳田格之進』

ここJTホールでの一之輔独演会はこれが最後。開口一番は一之輔の一番弟子、きいち。演じた『のめる』は橘家文蔵に教わったものだ。

一之輔の一席目は『寄合酒』。冒頭、長屋の若い連中が「こんちわ」「こんちわ」「こんちわ」と口々に言いながら入って来るが、やけに数が多い…と思ったら「一人で三回言わない! そんなにいるわけない」。これには笑った。鯛、干鱈、カツブシ、カズノコ、味噌が手に入り七輪で火を起こし、カツブシで取った出汁を捨てちゃった件があり…と来て「女っ気がないのもつまらないから連れてくるよ、人の持ち物だけど」と、あまり聞かない台詞が飛び出し、連れてきた女を見ると「あ、角の乾物屋のカミさんだ」でサゲ。あれこれ盗まれた角の乾物屋からカミさんまで盗んできちゃったという、このサゲは「今思いついたんでやってみた」というアドリブだ。

二席目は『化物使い』。本所割下水の人使いの荒いご隠居の許へ訪れた杢助が、「初日なので骨休め」と言われながら数々の用事を頼まれる件を念入りに演じて笑わせ(「青物横丁のついでが千住?」「それくらい世界規模で見ればこんなモンだ!」なんて台詞は一之輔ならでは)、すぐに三年後、杢助が去る場面へ。暇をもらう杢助のご隠居への「旦那様は人使いに無駄がある。人を使うは使われること、使われる身の心がわからなければ奉公人は居つかない、オラみてぇな働き者はもう見つかるもんではねェ、よーく肝に銘じなせぇ! ええかね、吉田!」に爆笑した。

化物はオーソドックスに一つ目小僧、大入道、のっぺらぼうの女が出てくるが、のっぺらぼうは大入道の翌日ではなく、「言われた以上のことをするな、そんなの働いてる気がするだけだ!」と叱られた大入道が消えて入れ替わりにのっぺらぼうが出てくるというやり方。一つ目に対する「ベェじゃなくて! もっと元気に子供らしく! ベェじゃなくて!」と叱りつけるのが可笑しい。「こっちに来なさい」と言われたのっぺらぼうが「そういう安い女じゃない」と拒んだのに「うぬぼれるな!」とキレたご隠居が「私好みの顔にしてやる!」と落書きしようとするのもバカバカしくて素敵だ。サゲは「お暇をいただきたいと思います」。その後の「こう化物使いが荒くては辛抱できません」までは言わない。『化物使い』というタイトルが出てこないわけだが、もちろんそんなことはどっちでもいい話。「お暇を」と子狸が言うだけでも確かに充分サゲになる。

休憩後のトリネタは『柳田格之進』。師匠の一朝に習ったという型で、碁盤を真っ二つにするまでは志ん朝の『柳田』とだいたい同じだが、そこからが違う。「両名の命ばかりは助ける」と言った柳田は「心配いたすな、あの後すぐに帰参が叶い、娘きぬは吉原から身請けをして心穏やかに暮らしておる。この春、他家に嫁ぐことも決まっておるから安心せい」と付け加えた。つまり、まだ見世に出て客を取る前に身請けをされたので、女郎になっていない、という設定だ。

万屋は「その婚礼の支度は私にさせてください」と申し出て、その婚礼の日、柳田と万屋源兵衛が二人でしみじみ話す。「きぬも礼を言っておった。源兵衛殿…明日、材木町の碁会所に行くのだが、一人では寂しい。御手合わせいただけるか」と柳田、「ぜひ、お供させてください」と源兵衛。心に沁みるエンディングだ。ここだけは一之輔が付け加えたのだという。見事な一席だ。五年間続いた「J亭 一之輔独演会」の締めくくりに相応しい人情噺で幕を閉じた。

※画像およびテキストの転載を禁止します。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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【速報】尾上松也さんが『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

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2017/11/12

📹【加藤和樹のエンタメCafe No.10】〈銀座エ..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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