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落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」第1回大手町二人会 白酒・三三(平成30年5月分)<93>

2018/06/08


今年から始まった「J亭スピンオフ企画 隔月替わり二人会」、
5月17日(木)「白酒・三三」二人会だった。演目は以下のとおり。

桃月庵こはく『代脈』
桃月庵白酒『馬の田楽』
柳家三三『三枚起請』
~仲入り~
柳家三三『道具屋』
桃月庵白酒『笠碁』

開口一番を務めたのは白酒の一番弟子、こはく。今年3月に二ツ目に昇進したばかりで、初々しい。前名は「はまぐり」。『代脈』は白酒が従来よりもグンと面白くした噺。ハキハキした口調が素直で好感が持てる。

白酒の1席目は全編田舎言葉で進行する『馬の田楽』白酒の操る田舎言葉はフラ全開、普通に話してるだけでジンワリ可笑しく、また登場人物ごとの田舎言葉の使い分けも抜群に上手い。要は「馬子が連れてきた馬が行方不明になる」だけの噺で、馬子と人々の会話から滲み出る楽しさが総て。その点、白酒は完璧だ。田舎の暑い日の昼下がりに起きた「ちょっとした事件」を最高に楽しく聞かせてくれる。居眠りする馬子を2時間も見守っていた三州屋のトボケたキャラも素敵だが、何といっても秀逸なのが「タケやんが悪いだ!」と訴え続ける子供の描き方。その必死な表情が堪らなく可笑しい。「タケやん一番悪いヤツでねェか!」という馬子の台詞も爆笑を誘う。耳の遠い老婆との会話では「ウマ!」「ルンバ?」「そぅだに楽しげでねェだ」、「バア様、耳遠いかね?」「バルセロナは遠いよ」といった白酒ならではの「聞き間違いギャグ」もあり、やたら大きな声で喋る気の長い男の「押しの強さ」がまた、わけもなく可笑しい。登場人物全員が生き生きと動き回る情景が高座に鮮やかに浮かんでくる「これぞ落語」という素敵な一席だ。

続いて三三『三枚起請』。喜瀬川花魁から「年季が明けたら夫婦に」という起請文をもらっている騙され男3人組が、花魁をギャフンと言わせようと揃って吉原に行くと、追い詰められた喜瀬川が開き直る…という顛末を軽やかに描く。「最初は腹が立ったけど、3枚目の起請が出てきたら無性に楽しくなってきちゃった」という若旦那(イノさん)の妙に浮かれた描き方は三三独自のもので、この噺に柳家らしい「ワイガヤ」色を加えている。「花魁に復讐しに行く」という行為はマジになると相当ヤボだが、この若旦那のオチャラけた描き方によってその「ヤボ」を「滑稽」に転換しているのは三三らしい工夫だ。

休憩後は再び三三が登場して『道具屋』。「毛抜きでヒゲを抜きながら与太郎に何度も同じことを訊く男」が聴きどころなのは小三治譲り。男の「そりゃ安直でよかったなぁ…」という台詞が耳に残る。この噺で三三の描く与太郎はどこか醒めていて客をからかう余裕もあり、談志~立川流の「自由人」与太郎に通じるところもあるが、そのトボケたキャラから滲み出る可笑しさは三三ならではの持ち味。こういう噺を淡々と演って楽しく聴かせるのは柳家の真骨頂だ。「相田みつをの偽物」の掛軸でサゲるというのには意表を突かれた。

白酒のトリネタは『笠碁』。先代馬生の型を大きく膨らませ、白酒ならではの「卑怯なくらい笑える顔芸」が全編で爆笑を誘う逸品だ。とにかく「喧嘩をする2人の旦那」が堪らなく愛おしい。「待ったなし」と言っておきながら自ら待ったをしようとする旦那の「みんなに内緒で1回ずつ待ったを」という提案のバカバカしさは、さすが白酒。「いや~偉くなったもんだ」と一昨年の暮れの話を持ち出して「人の道に外れてる」とまで言い募る相手に「じゃあ私も言うけど、8年前の9月だ! お前さん脇に女囲ってただろ!」と逆襲するくだりも最高だ。

「二度と遣いを寄越すな!」と言ったことを後悔している旦那が「ただ退屈してタバコ吸ってるだけ」の描写がやたら可笑しいのも白酒の凄いところ。この旦那が口にする「(碁会所で)この間なんか5つの子供に『オジさん頑張りな』って肩叩かれたんだ! 今までの人生ブチ壊しだよ!」なんて台詞、忘れてきた煙草入れの件で「何でも店の者を使うのは良くないよ」と言っておきながら傘の件では「買い物なんか店の者にやらせろ」と手のひら返しなのも大いに笑わせる。

一方、待ってる側の「この雨、いつまでダラダラ降ってるんだ! お前たちの仕事とおんなじ!」とキレるイライラ加減もまた実に可笑しい。(この日のマイクがちょっとした音を拾い過ぎるので「うるさいんだこのマイク!」とマイクにもキレたのには客席から拍手が起こった) 「あいつが古い話を持ち出して、8年前の…いやいや…」と危うく自分でバラしそうになったのにも笑った。

笠を被って碁敵が来たのを見て途端に上機嫌になった旦那の「こっち来い」という顔、声に出さずに「大ヘボ」「大ザル」と言い合う2人の表情など、最後まで「顔芸」炸裂で笑いっぱなし。『笠碁』はもはや「白酒十八番」と呼ぶべきだろう。最高! 文句なし!

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尾上松也

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2018/06/09

堤 真一×中井美穂 スぺシャル対談▷6月16日開幕!『お蘭、登場』

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2018/05/12

【早霧せいなのビタミン“S”】其のニ .「カラーメガネ」

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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2018/06/04

尾上松也のエンタメ異文化交流録▷ミュージカル『メリー・ポピンズ』大阪..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2018/05/18

📹【加藤和樹のエンタメCafe No.17】〈三軒茶..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
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2018/06/04

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.2「そんな質問さ..

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東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中
【Official HP】 こみちの路

2018/02/23

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.8『勧進帳』

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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