BUTAKOMEステージレビュー<劇場に行かねば!>

新連載【ゲキネバ!】Vol.1 ブロードウェイミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』

2017/04/15


 

きみはいい人チャーリーブラウン01

 

BUTAKOMEステージレビュー
ステージ雑感『ゲキネバ!』

 
 BUTAKOME読者の皆様、こんにちは♪ この春から新たに『ゲキネバ!』連載をスタートすることになりました演劇ライターの上野紀子です。

 まずはゲキネバ!って何じゃらほいですが、「劇場に行かねば!」の省略形でございます(強引)。とにもかくにも劇場に足を踏み入れなければ出会えなかった、味わえなかった感動、驚き、興奮等々、勝手気ままな雑感を綴らせていただき、多くの方に「そうか、やっぱり劇場に行かねば!」と拳を握って決意していただくことを狙いとしております。しばしお付き合いのほどを〜。

 

Vol.1 『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』

 
 前置きはこのくらいにして、栄えある第一回目は現在シアタークリエで公演中(4月25日まで)のブロードウェイ・ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』です。チャールズ・M・シュルツ作のコミック“PEANUTS”のキャラクターたちが登場するこの作品は、オフ・ブロードウェイの初演がなんと1967年! 50年の歴史を持つ名作なんですね。

 1999年には、精鋭クリエイターたちによって再構築されたブロードウェイ・リニューアル版(演出&追加脚本を担ったのは『Spring Awaking/春のめざめ』マイケル・メイヤー氏。今年1月シアタークリエ公演『お気に召すまま』演出も手掛けていましたね)が再注目されました。

 ちなみに日本では過去に坂本九さん、小堺一機さんがチャーリー・ブラウンを、市村正親さんがスヌーピーを演じて話題を集めました。

 チャーリー・ブラウン、ルーシー、サリー、ライナス、シュローダー、そしてスヌーピーのPEANUTSの仲間たちに扮する、6人の俳優だけで繰り広げるミュージカルです。

 

チャーリーブラウン02

(左から)チャーリー・ブラウン/村井良大、スヌーピー/中川晃教

 
 新生・日本版では、なんといってもチャーリー・ブラウン役の村井良大さんとスヌーピー役の中川晃教さんの豪華コンビが注目の的。ブロードウェイ・リニューアル版でチャーリーを演じたのは『RENT』アンソニー・ラップで、マーク役つながりの村井さん、その柔和な笑顔に「ああ、チャーリー・ブラウン!」と強くうなずいてしまいます。
 
村井良大0415 

 
 そして『ジャージー・ボーイズ』フランキー・ヴァリ役でいくつもの演劇賞に輝いた中川さん。伝説のシンガーから犬までこなす、そのポテンシャルは計り知れず! キャリアの光るお二人が引っ張る舞台かな〜と思って劇場に向かったのですが、その予想は大ハズレでした。

ルーシー役の高垣彩陽さん、サリー役の田野優花さん(AKB48)、ライナス役の古田一記さん、シュローダー役の東山光明さんのフレッシュな面々を含めた、6人誰もが主役であり、また6人の全身全霊のパワーが合わさって成り立つ、最高にハッピーな世界がそこにあったのです。

 PEANUTSといえば海外の多くの国で知られる人気コミック。舞台もまるで四コマ漫画が次から次へと流れるように、さまざまなエピソードが展開されます。スヌーピーはチャーリー・ブラウンの飼い犬だけど、シニカルな目で人間の子どもたちをみつめ、人生ならぬ犬生哲学をつぶやくんですよね。自信満々の夢想家なスヌーピーに扮する中川さんが最高にチャーミング! 

チャーリーブラウン03

上から目線で人間たちを見るかと思えば、ゴハン皿を持って村井チャーリーを追いかける姿がもう〜たまらん可愛さです。ソロナンバー『サパータイム』での中川さんの弾けっぷりは、スヌーピーが耳を立ててリズミカルにダンスステップを踏む、あのイラストを思い浮かべてください。ハイ、そのまんまです。

 
チャーリーブラウン04

(写真左)ルーシー/高垣彩陽

 
スヌーピーだけじゃありません。意気揚々と意地悪を仕掛け、「私が一番!」を主張する高垣ルーシー。成績が悪くても先生にゴネまくり、ちゃっかり点数をもらう田野サリー。毛布とともに意地悪な姉ルーシーをも愛する、心優しい古田ライナス。陶酔しながらおもちゃピアノでベートーベンをかき鳴らす、芸術肌の東山シュローダー…。全員がまぎれもなくコミック通りの愛すべきキャラクターとして息づいているのです。そして、とんがった個性を持つこれらの仲間たちを、大きな懐で受けとめるのが村井チャーリーなんですね。

 
チャーリーブラウン05

(左から)サリー/田野優花(AKB48)、シュローダー/東山光明

 
チャーリーブラウン06

(前列左から)ルーシー/高垣彩陽、チャーリー・ブラウン/村井良大
(後列左から)サリー/田野優花(AKB48)、ライナス/古田一紀

 

でも自分自身の懐の大きさには気づいていなくて、いつも勇気が出なくて、ルーシーの意地悪に見事に引っかかっちゃう。そんなトホホなチャーリー・ブラウンを、村井さんが終始、穏やかな空気をまとって表現。力みのない、ふんわりとしたたたずまいなのに、確かに皆の頼れる軸となって存在しているのがわかります。原作の世界観をフルパワーで体現する6人。始まりから終わりまで、ずっと頬を緩ませたままで見つめること必至! 

 
 このミュージカルのすごいところは、子どもたちの素朴な日常を描きながらも、随所で“生きる指針”となる希望の光を痛感させてくれること。演出・訳詞の小林香さんは、メインナンバー『Happiness』に魅せられたことからこの作品を知ったそうで、「その歌詞をお客様に届けることが使命」とおっしゃっていました。
 
「幸せは誰にでも、何にでもある。君が愛してるなら」
 
 そう、焦りや息苦しさを感じ、追い立てられるような日々の中にいても、ふと目を向ければ、幸せはどこにでも転がっているんです。そんな気づきを与え、心と体を解放してくれるミュージカル。この絶大なヒーリング効果を、ぜひ劇場で体感していただければと思います。
 
 では、『ゲキネバ!』次回もお楽しみに〜♪

 

上野紀子(うえの のりこ)■
プロフィール
演劇ライター。桐朋学園芸術短大演劇科、劇団文学座附属演劇研究所卒。『シアターガイド』『BEST STAGE』など演劇情報誌のほか、公演プログラムにて執筆。韓国演劇に関心を持ち、『シアターガイド』では2004年から韓国演劇情報を約十年に渡り連載した。2008年、文化庁在外研修で一年間ソウルに留学。高麗大学韓国語文化教育センター定期課程修了。韓国演劇を気にかけながらも、現在は日本のステージシーンのほうを注視している。BUTAKOMEイベントで時々MCも頑張ってます♪
 

 

■□■BUTAKOME☆Information ■□■
 

きみはいい人

 

原作:チャールズ・M・シュルツ著
コミック『ピーナッツ』より
脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー
追加脚本:マイケル・メイヤー
追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ
訳詞・演出:小林 香
振付:川崎悦子
音楽監督:佐藤真吾
美術:松井るみ
照明:高見和義
音響:山本浩一
衣裳:有村淳


出演:村井良大、高垣彩陽、田野優花(AKB48)、古田一紀、東山光明、中川晃教
声の出演:大和悠河

日時・会場:
■東京公演
2017年4月9日(日)~25日(火)シアタークリエ
料金:全席指定10,800円 

■福岡公演
2017年4月29日(土)キャナルシティ福岡

■大阪公演
2017年5月6日(土)・7日(日)サンケイホールブリーゼ

■愛知公演
2017年5月9日(火)・10日(水)日本特殊陶業市民会館・ビレッジホール

※公演の詳細は公式サイト

 
 

 

BUTAKOME【LINE@ はじめました】
💡友達追加は下記↓をClickしてください💡

友だち追加数

※画像およびテキストの転載を禁止します。

バックナンバー

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』リビング貸切公演

インタビュー

古川雄大091301

古川雄大

『レディ・ベス』ちょっと異質なスペインの風を吹かせたい...

チケット購入

一覧はこちら

BUTAKOME動画チャンネル

連載☆エンタメコラム

2017/09/17

【中井美穂のヅカヅカ行くわよ♪<番外編>】『謎の変奏曲』橋爪功さん×..

open

close

Profile

ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2017/09/06

【尾上松也のエンタメ異文化交流録】『ヤングフランケンシュタイン』

open

close

Profile

1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2017/03/22

📹【加藤和樹のエンタメCafe No.8】〈池袋エリ..

open

close

Profile

1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
【Official blog】 公式ブログ

2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

open

close

Profile

木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

クラシック音楽界のきら星たちに注目

NYから直送!「最新ブロードウェイミュージカルレポート」

ブタコメ編集部

関連サイト

  • LIVING COLLECTION
  • LIVING
  • CITY LIVING
  • あんふぁん
  • シュフモ
  • Lei wedding net