演劇・ミュージカル

インタビュー

『RENT』日本版リステージ アンディ・セニョールJr.さんSpecialインタビュー☆今年の『RENT』は非常に力強いキャストが集まっています

2017/07/14


 

andy03

 

僕は1年を「やろうとする気持ち」で数えます

 
――アンディさんが『RENT』に出演したときはオリジナル演出版。今は2011年のオフブロードウェイ上演から変わった新演出版での上演ですが、この違いはどう思いますか。

オリジナル演出版は、ジョナサン・ラーソンがプレビュー初日前日に突然亡くなり、さらにオフブロードウェイからブロードウェイへと急に移ることになったので、物語を語るという点では演出のマイケル・グライフが探求しきれていないところがあったんですね。新演出版はマイケルが探求しきれなかった点をもっと深め、ステージングで新しい要素を入れて、よりわかりやすい内容にしたものです。新演出版は同じ作品を見直すいい機会になったと思う。もちろんオリジナル版も大好きですが、新演出版は見れば見るほど独自の魅力があると思いますね。

 余談ですが、マイケルにこの間、日本版の記者会見の写真を送ったんです。「これはブロードウェイにはないことだね」とびっくりしていましたよ(笑)。

 
――2幕後半の「What You Own」で、マークとロジャーが2階建てのワゴンの上下に別れて歌ってますよね。旧演出版は二人が同じ平面にいましたから、上下に別れているのを見て疑問に思っていたのですが、今回見て二人にシンクロするものを感じました。「これが新演出版の見せたかったものか」と思いました。

そうですね。このシーンはマークとロジャーがお互いを鏡として見ているんです。新演出版の方が、何が起こっているかがわかりやすいものになっていると思いますよ。

 
――これだけ深く『RENT』に関わっていらっしゃるアンディさんにとって、『RENT』とは?

真実、ファミリー、無条件の愛、怒り、フラストレーション、そしてレガシー。ここにはたくさんのレガシーが結びついています。ご存知のとおり、ジョナサンのレガシーを実行するのが我々の義務だと思っています。

 
――稽古も拝見したのですが、わりと賑やかな稽古場だったのに、アンディさんが「この台詞は実際にジョナサンが友達に言った言葉なんだ」と言ったとき、皆が静まり返って聞き入っていたのが印象的でした。それだけ、キャストもアンディさんもジョナサンさんの言葉を大切にしているんだなと思ったんです。

確かにそうです。最初は、ジョナサンとマイケルがオリジナルキャストと作品を一緒に作っていきましたよね。突然ジョナサンが亡くなったとき、そこにはジョナサンのエネルギー、命、感情があった。

そして、僕やマーカス(振付補のマーカス・ポール・ジェームズ)という新しい世代が『RENT』のキャストに加わって、ジョナサンのエネルギーの「ボール」を掴み、受け取ったんです(と、手の平の上にボールを大事そうに乗せるポーズをやって見せる)。オリジナルのときにあったボールを持ち続け、渡し続ける。

そして、僕らが日本にやってきて、そのボールを渡し続けるんです。ジョナサンの感情の重み、ジョナサンが亡くなったときのオリジナルキャストたちの感情の重みをずっと持ち続け、伝え続けていくんですね。

 
――なるほど……。そうやって運んできてくれたボールを今の日本人キャストの皆さんも抱えて見せてくれているから、私たち観客は『RENT』の舞台を見て「サンキュー、ジョナサン・ラーソン!」という気持ちになるのですね。

まさにそうですね。

 
――今日はお話が伺えてよかったです! 最後にお聞きしたいことがあります。「Seasons of Love」の歌詞に「あなたは1年をどう数える?(How do you measure a year?)」という歌詞がありますが、アンディさんは1年をどう数えますか?

僕ですか? うーん、そうだなあ……。やろうとする気持ち、続けようとすることで1年を数えますね。

自分に起こることって、自分でコントロールできないものだと思うんです。たとえば、シルバーとピンクという二つのものがあったとして、「あなたはどっちを選ぶの?」と提示されるわけじゃなく、「はい、あなたはピンクね」と渡されるのが人生ですよね。

じゃあ、このピンクで僕は何ができるのか? そう考えて、やり続ける強さを持つこと。そんな強さで1年を数えます。

何があってもやり続けるというのは、ロジャーもそうですよね。自分が直面しているいろんな問題があっても、ギターをまた持って曲を書こうという意志がある。ジョナサンもいろんなことがあっても、それでもピアノの前に座って作曲し続けた。

だから、I measure in the attempt.やろうとする努力、毎日毎日のことだと思うんです。もちろんベッドから出たくない日もありますよ(笑)。それでもトライしようとし続けること。「努力」で1年を数えますね。

 

取材・文/演劇ライター 大原 薫
撮影/吉原朱美

 

アンディ・セニョールJr.
プロフィール
トニー賞受賞ミュージカル『RENT』のエンジェル役としてプロデビュー、ブロードウェイ、ロンドンのウェストエンド、全米および世界ツアー公演で同役を演じた。彼は『RENT』オフ・ブロードウェイ版リバイバルにてマイケル・グライフの演出補を務め、2012年には日本版リステージとして来日、またキューバの首都ハバナで行われた同作の歴史的公演でもリステージを担当した。
フロリダ国際大学にて演劇専攻の美術学士を取得、さらにパブリック・シアター・シェイクスピア・ラボにて演劇を学び、『終わりよければすべてよし』に出演。近作として、新作ミュージカル『FLY』(ダラス・シアター・センター)にてジェフリー・セラーの演出助手を務め、現在はジェリー・ミッチェルによるグロリア・エステファンのブロードウェイ・ミュージカル『On Your Feet!』に演出補として参加している。彼はマイアミのディスリクト・ステージ・カンパニー芸術監督でもある。

(『RENT』2017 公演パンフレットより)
1 2 3

※画像およびテキストの転載を禁止します。

バックナンバー

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』リビング貸切公演

インタビュー

城田優121203

城田優

ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』

チケット購入

一覧はこちら

BUTAKOME動画チャンネル

連載☆エンタメコラム

2017/11/24

趣里×中井美穂 スぺシャル対談☆『ペール・ギュント』~日韓文化交流企..

open

close

Profile

ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2017/11/24

【本編】尾上松也のエンタメ異文化交流録『ローゼンクランツとギルデンス..

open

close

Profile

1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2017/12/12NEW

【先行抽選エントリー開始!】加藤和樹のエンタメCafe in 大阪~..

open

close

Profile

1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
【Official blog】 公式ブログ

2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

open

close

Profile

木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

クラシック音楽界のきら星たちに注目

NYから直送!「最新ブロードウェイミュージカルレポート」

ブタコメ編集部

関連サイト

  • LIVING COLLECTION
  • LIVING
  • CITY LIVING
  • あんふぁん
  • シュフモ
  • Lei wedding net