『ビリー・エリオット』

【大原薫の観劇コラム】特別編『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』~ 一人一人が特別なビリー ~

2017/07/30


 
【9月平日★S席】特別価格で発売中!

 

billy
 

(左から)加藤航世さん、木村咲哉さん、前田晴翔さん、未来和樹さん、山城力さん

 
熱い感動を届けながら絶賛ロングラン上演中のミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。前回の観劇コラムでその作品の魅力について語った。今回の公演の特徴は主役のビリー役として1,346人から選ばれた「奇跡の少年」5人が日替わりで登場するということ。作品の本質は変わらずとも、キャストによって見え方が鮮やかに変わってくるのが面白いところだ。

今回は、加藤航世さんがビリーを演じた公演から魅力をお届けする。

リアル・ビリーが現れた! そんな驚きを持って見たのが加藤航世さんのビリーだ。

 
加藤航世

前列中央ビリー役:加藤航世さん 後列中央ウィルキンソン先生役:柚希礼音さん
撮影:阿部高之

 
ビリーは炭鉱町でバレエダンサーを志す少年。3年前に母を亡くしたビリーは心の中にモヤモヤとした思いを抱きつつも、それが何かわからずに過ごしている。最初の登場シーンの加藤さんはてらいもなく、気負いもなくナチュラルに存在しているように見えた。ナチュラルと簡単に言うけれど、舞台にナチュラルに存在するのは至難の業。前回プレビュー初日で拝見した前田晴翔さんもそうだが、ありがちな作り込みやわざとらしい熱演はまったくないのが好感の持てるところだ。

 
少女たちにバレエを教えるウィルキンソン先生に偶然出会ったことがきっかけで、ビリーはバレエを志すようになる。初めのうちは自分でもバレエが好きかどうかわからず、時には「いやだ!」とも口に出すビリー。しかし、次第に自分の中で「バレエを踊りたい!」という気持ちが高まってくる……。

劇中でウィルキンソン先生が「ダンスというのはダンスを知るのと同じくらい自分を知るということ」「自分の中の原始人を解き放つのよ」とビリーに言うが、ビリーの内なる魂に徐々に火がついていくのが、客席からもありありと見えるのだ。

 
聞けば、幼い頃からバレエを始め、受賞歴もあるという加藤さん。一番の見どころは、2幕後半の「Electricity」だろう。「踊っているときどんな気持ち?」と問われて、「踊っているとき、僕は自由だ」と歌うこの場面は各ビリーによって振付を変えているところがあるそうだが、ビリー役5人の中でも正統派のバレエの実力を見せるのが加藤さんだ。力技で見せるダンスでなく、しなやかな美しさの中にエネルギーを秘めたバレエが限りなく美しい。最後のアラセゴンターン(大回転)も見事に決まり、客席からはしばしショーストップになるほどの大きな拍手が沸き起こった。

もう一つ、加藤さんで必見なのは、ドリームバレエのシーン。観劇した日のオールダービリーはKバレエカンパニーの栗山廉さん。完璧なほどに美しく力強く踊る栗山さんと加藤さんが見事にシンクロする様は思わずため息が漏れるほど。

歌声は透き通るようなボーイソプラノ。「ビリーを演じなくていい」という演技指導を受けたというが、加藤さん自身の「踊りたい!」という強い思いとビリーの気持ちがぴったりと重なり合った。だからこそ、私たちは「目の前にビリーがいる!」と思えるのだろう。

 
shine

ウィルキンソン役:島田歌穂さん、ビリー役:木村咲哉さん 

 
この日のウィルキンソン先生は島田歌穂さん。柚希礼音さんのウィルキンソン先生のビリーに対する気持ちがどこか「同志」のようなものなら、島田さんの場合は「母子愛」にも近いような感覚。島田さんのウィルキンソン先生のあり方とビリーとの関係性から、親からの自立という普遍的なテーマも浮かび上がってくる。なお、島田さんのウィルキンソン先生が「自分らしく輝きなさい」と歌い踊る「Shine」の場面は懐かしい80年代テイスト!?がなんとも楽しいので、ぜひこの場面にも期待していただきたい。

 
この日のビリーのお父さんの役は益岡徹さん。お母さんが亡くなったことが今も心に影を落としているのをありありと感じさせる父親像で、無骨で頑固者の吉田鋼太郎さんの父親役とはまた違う人物造形。だからこそ、バレエを踊りたいというビリーと向かい合うことで、お父さんの心が変化する様がよりドラマチックに心に響いてくる。

 
そして、この日のマイケルは古賀瑠さん。「Expressing Myself」で楽しく盛り上げる明るいマイケルだが、内心ではビリーへの秘めた思いを宿す役どころでもある。古賀さんはマイケルの繊細な胸の内を丁寧に演じ、2幕最初、加藤ビリーの手を古賀マイケルの胸元で温める場面は、これまで見たロンドン版にもブロードウェイ版にも感じなかったほどの切ない抒情にあふれた。この日の古賀さんのマイケルと加藤さんのビリーの場面は私の記憶にずっと留めておきたいところだ。
 

演じるキャストによってプリズムのようにきらめきを変えて見せるのがミュージカルの、そして『ビリー・エリオット』の魅力。また劇場に足を運びたいと思う。ビリーが胸に抱く「踊っているとき、僕は自由だ」という気持ちを体感するために。

 

取材・文 / 演劇ライター・大原薫
撮影:阿部高之

大原 薫(おおはら・かおる)■
プロフィール
演劇ライターとして雑誌(BEST STAGE、Sparkle、STAGE NAVI、ミュージカルなど)や公演パンフレットなどで執筆。ラミン・カリムルー、レア・サロンガ、シンディ・ローパー、ハーヴェイ・ファイアスタインなど海外ミュージカルスター・クリエイターにも精力的に取材する。ブロードウェイミュージカルの魅力に惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝える。テレビ番組『アカデミーナイトG』に「4000本以上を観劇したカリスマ演劇ライター」として出演、ミュージカル『ビリー・エリオット』の魅力を熱弁した。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び!
 

💡大原薫さんが執筆した『ビリー・エリオット』記事
日本初代ビリー4人に直撃インタビュー
吉田鋼太郎さんインタビュー
島田歌穂さんインタビュー
5人目のビリー役・山城力が追加決定 / 4人のビリーにインタビューVol.2
囲み取材(稽古場) ~「明日から頑張ろう」という気に必ずなれる作品です~
パフォーマンス披露!伝助再び!? 吉田鋼太郎が九州弁で登場&柚希礼音がバレエを熱血指導!
速報☆プレビュー初日レポート~鳴りやまない拍手、ビリーの熱い夏が始まる!
 
大原薫の演劇コラムVol.3『ビリー・エリオット』

 

💡特番放送💡
「綾瀬はるかが見た!ビリー・エリオット 奇跡の600日」
8月23日(水)深夜26時05分~放送!
 

 

■□■BUTAKOME☆Information ■□■

 
9月平日公演★S席
特別価格でチケット発売中!
 
■S席 13,500円 → 特別価格 12,000円 


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出演:加藤航世・木村咲哉・前田晴翔・未来和樹・山城力(交互キャスト)
吉田鋼太郎・益岡徹<Wキャスト>、柚希礼音・島田歌穂<Wキャスト>、 久野綾希子・根岸季衣<Wキャスト>、藤岡正明・中河内雅貴<Wキャスト>、 小林正寛、栗山廉(Kバレエカンパニー)・大貫勇輔<Wキャスト>
ほか

日時:2017年9月8日(金)、9月15日(金)・9月20日(水) 13:30
9月12日(火)・9月14日(木)・9月21日(木)・9月26日(火) 12:45 / 17:45

会場:TBS赤坂ACTシアター

料金:S席13,500円 ⇒ 特別価格 12,000円
※4歳以上観劇可、ひざ上観劇不可
※公演の詳細は公式サイト

 

 

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

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【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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2016/11/29

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.7 一味違った楽しさとパワ..

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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