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tpt『プライド』 The Pride~伊礼彼方・演劇コラム~

2012/01/18


みなさま、2012年幕開けして初の演劇コラムは
伊礼彼方さんの登場です!!

昨年12月に伊礼さんに観劇いただいたのは
『プライド』 The Pride。

すでに年末に書き上げて頂いていたのですが・・・
諸般の事情あり、コラムのアップが大変遅くなりましたことお詫び申し上げます。

この作品『プライド』The Prideは、イギリス演劇界で俳優として活躍していたアレクシ・ケイ・キャンベルが初めて書き下ろした戯曲で、2008年にロンドン、そして2010年に
ニューヨークで上演され高い評価を受けた作品です。
同性愛、セクシャル・アイデンティティを切り口として1950年代と2008年、それぞれの時代に生きる男性二人と女性一人の物語を交互に展開。社会の変容と、その社会に属しながら自分らしい生き様を模索し続ける人々を描いた、鮮烈で深みのある会話劇です。
二つの時代に登場する人物たちの名前は変わらないけれど、そのシチュエーションはまったく別物。しかし二つのストーリーが切り貼りされて進行するのではなく、それぞれの登場人物たちが溶け合って、作品に込められたさまざまなテーマを強く問いかけてくるような印象を受けました。時を経て様変わりする環境の中で、ひたすら自らの居場所、求める愛の形を確認しようとする彼らの姿から、観客自身が自己の欲求や葛藤とあらためて向き合わされる…、そんな余韻の残る舞台。
演出の小川絵梨子さんと実力派俳優の皆さんが、じっくりと丁寧に、そして真摯に作品世界を探究して作り上げていったことが感じられる、精度の高いステージでした。

演劇コラムニストとして、まもなく3年目を迎える伊礼彼方さん・・・
今回は、コラムというよりはエッセイに近い感じの内容に感じました。

では伊礼さん演劇コラムをどうぞ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お久しぶりです!

初代コラムニスト「かなた伊礼」です。

今年は観劇コラムがあまり出来なくってパソコンを開くのも少なくなってしまいました。
その代わり、お仕事はとても充実した1年でした。

皆さんはどうでしょう?
今年一年振り返ってどうでしたか?
去年より笑えましたか?今年の方が泣きましたか?

そうですか。大変だった方々・・・
来年はきっといい事がありますよ!信じていて下さい。私もそう願ってます。

今年めちゃめちゃ良かった方々・・・
覚えとけ!来年痛い目に合うぞ!私の予言は当たるんだ!ざまぁみろ!

とまぁ、久しぶりにパソコンに向かうと、こういう下らない事ばかり書きたくなってしまって、まったく本編に突入しないのが私の癖。変わらないね。このパターン嫌いじゃないんだよね(笑)
「男はいくつ歳を取っても子供」と言いますが、果たして全員がそうでしょうか?
間違いなく私は遡り過ぎて新生児なみの解りやすい男だと自負してる。「自負」ってなんだよ!早く幼稚園に連れてって!

くだらない事ばかり書いてますが、今年起きた未曾有の震災がきっかけで、僕の目指すスタイル・考えをより一層強くしてくれた。それは何かと言うと、「いつ何が起きるか分からないから、とことん人生を楽しもう。とことん馬鹿をやろう。今しか出来ない事を実践しよう」です。
死にたくはないし、大切な人を失いたくもない。
でも「死」が無条件に全員平等にいつか来てしまうものならば、いつ死んでも後悔しないだけのエネルギーを持って、1日1日を生きようと改めて思いました。
それが容易い事ではなく、とても勇気のいる事だからこそ、そうしたいと思う。

さて、今回観劇した『プライド』 The Pride男3人女1の少人数芝居
日暮里の駅から歩いて10分くらいの所にある「d-倉庫」。

BUTAKOME

初めて訪れた劇場ですが、住宅街の一角に突然現れる異空間。
100席くらいの小さな劇場に、もちろん緞帳もなく、目の前には中流階級以上ではない、
とある夫婦のリンビングがそこにセットされていた。シンプルだけど、象徴的に計算された色彩と配置。

ワンセットで構成されている1幕。転換がないので同じセットなんですが、シーン(場面設定や時代)は変わっている。2幕ではセットが変わりますが、もちろんそれもワンセット。
以前私が出演させて頂いた「今は亡きヘンリー・モス」と似たにおいを感じた。
演出が同じ小川さんだからなのか。
いや、いわゆる不条理芝居と言われるヤツだからだ。
よく分からないけど、開演前特有の「何かが始まる!」という未知数なドキドキわくわく感に会場があふれていた。

大劇場やミュージカルにはそれぞれの良さがあるけど、小劇場にもならではの楽しみ方がある
大劇場では俳優の息づかいやお腹の虫までは聞こえない。でもこういう小さな空間でのお芝居は呼吸一つがドラマの主役になる。だから自分の呼吸や心臓の音すら邪魔と感じる時がある。ハマると抜け出せないですね。

正直言って、ストーリーを説明するのは非常に困難だ。(別途あらすじをご参照ください)
観た人によって捉え方や感じ方が違うからね。何より観終わって「どういう事だったの?」と疑問を残して終わるのだから余計説明をするのは気が引ける。だからと言ってつまらなかった訳じゃない。つまらなかったら冒頭でまず「私の好みにはあいませんでしたが・・・」と書き殴っていただろう。いつかそんな文面が却下された事があったかな。
面白いのは、俳優がその瞬間瞬間時々で放つ空気に触れながら、物語りを理解して行くというより、徐々に作品が自分に降りてくる感覚がある。それがたまらない。内容が濃ければ濃いほど、グロテスクであればあるほど自分の中に作品が解け合っていくのを感じるのがたまらない。こういう経験はあるでしょうか?

自分が役を演じる時は、自分と作品が解け合うまで約3週間くらいはかかる。わかってる!
考え過ぎて空回りし、結局は一番最初に感じたイメージに戻る事が大半。解りやすく言えば輪廻転生のように、生まれて、地に還って、次は前世の記憶がある状態で生まれ変わる感じ。だから同じ過ちは繰り返さない。
でも観劇する側の時は、最初から生まれ変わっている状態に似ている。
だからフラットに新鮮に柔軟に観れる。だから3週間かかるところ、劇場という空間に身をおいてさえしまえば、自然にその本編中に解け合える。
当事者なのか第三者なのかでは捉え方がだいぶ変わる。

複雑そうな事を書いているが、なに一つ難しい事は書いてない。
本を読むとよく思うんですが、文章にすると理解できないものも、体感や体験や体現をすれば言葉を読むより100倍理解できる。私たちが本を読むのは何かが起きた時や何かを知りたい時の予備知識を蓄えるため。(もちろんそれだけではないが)でもそれは実体験ではないから経験が伴っていない。頭でっかちになってしまう恐れがある。
人伝いに流れてくる噂も、実際直接本人に会ってみるまでは事実かどうかは解らない。事実じゃなかった経験が私には沢山ある。一方通行が一番事故を回避しづらいのだ。だから頭で考えるより体で感じた方が本当の答えに早く辿り着けるのではないだろうか。

人が何かを好きになるのは自然な事。理由なんてない。それを他人がとやかく言えるほど単純でもない。責任をとれるわけでもない。
私の場合「好き」というのは頭で考える前に体が反応してしまっている状態を現しているんじゃないかと思う。心が。だからその対象が誰に向けられるのかはその時になるまで分からない。たとえ好きになってしまった人が同性だったとしてもね。それは罪ではない。

今回の作品は、こういうごく当たり前だと思っているような日常的な事を、改めて思い出させてくれる内容だった・・・という感じです。“同性愛”というテーマもそのひとつ。

私たちは母親のお腹にいる初期の頃、全員女として創られる。その過程を経て男女に分かれて行く。しかし、その大事な時期になんらかの形で母親に大きなストレスが生じてしまった場合、男の体をもった女性が産まれたり、女性の体を持った男が産まれたりもします。
専門医じゃないから詳しくはないが、そんな話を聞いた事がある。

ゲイ・ニューハーフ・オカマ・おなべ・レズビアンなど、いろんな形があります。
誰を責めても誰を憎んでも解決はしないし、その事実は誰にも変えられない。
隠すのか公表するのかでは通る道も辿り着く場所も違うだろう。
私はノンケだから同性愛者が何を背負って生きているのかは解らないが、人を愛する気持ちは少なからず知っている。恋しくて愛しくて切なくて、心が今にも爆発しそうなあの頃の事を思い出す。彼ら彼女たちは私からみると、一般に男女と言われる人種に比べ、利害関係がなく、より真っすぐで清い人種だと感じる。(もちろん本当の愛ね。商売は別)私の身近にいる同性愛者は心が広くとても澄んでいます。
何故か私は普通の人種より、そういう人種と話が合う事が多く。
教えられる事も数えきれない。

自分がどんなミテクレで、そこに矛盾があって、コンプレックスがあって、無力なら、それを受け入れる事からしか前には進めないと思う。
人から見た自分と、自分が感じる自分。
自分が演じている自分、そして自分の中にいる自分。
本当の自分ってどれかなんて考えるより、自分と一緒にいる時、目の前にいるその人が笑ってくれているのかが大事なんじゃないかな。
私はそれが大事だと思うし、人の笑顔を信じて生きてます。
人の笑顔を見るためなら、どんな馬鹿も演じます。

それが私の唯一のプライドです。

全人種!よいお年を!!!

BUTAKOME

※このコラムは2011年末に執筆されました。


【プロフィール】伊礼彼方

※画像およびテキストの転載を禁止します。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2018/12/27

尾上松也さんSpecialインタビュー▷平成最後の『新春浅草歌舞伎』..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2018/08/06

📹【加藤和樹のエンタメCafe 番外編】〈大阪・梅田..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

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2018/11/20

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.7「女のお喋り」

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東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中
【Official HP】 こみちの路

2018/02/23

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.8『勧進帳』

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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