女性落語家☆柳亭こみちの「ちょいと一回のつもりで聴いて」

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.2「そんな質問されたって」

2018/06/04


 
「新しいお囃子さん?」
2003年に前座として楽屋入りした当初、よくされた質問。
何を隠そう私は、落語協会では女の着物で修業をした初めての前座だった。
それまで女性の先輩方は、前座修業では男の着物を着ていた。
女の着物を着た前座に見慣れない楽屋では、私はお囃子さんと勘違いされたというワケ。

 
着物での立ち居振舞いが身に付くようにという師匠の方針で、師匠宅での掃除も着物着用。女の着物は、何かと袖が邪魔になる。タスキがけは必至。トイレ掃除、風呂掃除では割烹着着用。
師匠のお使いに着物でいつも出ていたら、ご近所さんから「どこの飲み屋のお姉ちゃんなの?」。タスキがけに皆さんの目が慣れた頃には楽屋で「そこの女中さーん」。落語会のお客様からは「団子屋の娘?」。なんの根拠があるのやら。
そしてあたしは前座ですってば。
とにかくそれが、当時のこみちユニフォーム。

 
そんな前座修業を経て、二ツ目に昇進。
「二ツ目さんになると、羽織が着られるんですよね?」
よくされたのはこの質問。
間違いなく、その通り。
ただし男性の噺家の場合は。
 
我々女性の噺家の着物について、ではどうなっているかと言うと。
 
ルール、なし。
 
二ツ目に昇進してからは、師匠の指示がない場合、どんな着物を着るかは自分次第。
今や女性の噺家も数十名いるけれど、みんなそれぞれがそれぞれのルールで高座に上がっている。
男の着物の人もいれば、女の着物の人もいる。羽織を着る人もいれば、着ない人もいる。小紋、紋付き、羽織、袴、細帯、お太鼓、色々なのだ。
 
そして私は。前座時代は細帯で過ごしていたが、二ツ目昇進時からは帯を太くお太鼓にし、帯揚げ、帯締めの小物着用が正装というルールにした。
ちょっと、大人っぽいでござんしょ?
 

 
さて。

真打昇進後。
 
小紋の着物でお太鼓の帯をしめても、真打としてはどうも格が低いような気がして、自らのルールを改定。
 
トリでは紋付きを。
 
と言って、紋付きばかりではローテーションがうまく回らない時、また変化をつけたい時、最近よく使う方法。
 
袴、着用。
 

 
小紋の着物でも袴をつければなんとなく気合が伝わったり、動きの激しい噺も思いっきり動けたり、トリでも重宝している。
 
だけど。
 
袴着用率の上がった私が、最近よくされる質問。
「あら?また妊娠?」
 
二度の妊娠中に袴で腹ボテを隠していた私が袴を着けると、皆さん妊娠を疑うらしいのだ。
 
ここで断言しよう。
 
私はお囃子さんでも、飲み屋のお姉ちゃんでも、女中さんでも、団子屋さんでも、妊婦さんでもない。
そしてもう子は産まない。芸道に邁進する、決意の袴だ。
 
最近楽屋で後輩女子から、こんな苦情を受けた。
「姉さんのせいで、袴着けてると『妊娠したの?』って言われるんですよ~」。
 
ごめんよ。
 
後輩ちゃん達のためにも、これからもどんどん袴を着用して、「女性の噺家の袴=妊婦」という前例を、忘れさせていきたい。
 
自らの着物は、自らがルールを作っていく。そんな女性の噺家達が歩む道。
今度寄席や落語会にいらしたら、我々がどんな着物を着ているか、注目してみてはいかがでしょう。
きっと、あなたの暮らしに役立つ知識や情報が得られる、訳はないけれどね。

 
 

柳亭こみち(Komichi Ryutei)

プロフィール
落語家。東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中。

※公式サイト「こみちの路」

 

■□■ 柳亭こみち☆Information ■□■
 
 

こみち

 

なかの坐こみち堂 柳亭こみち独演会
 
第2回 7月11日(水)19:00開演
出 演:柳亭こみち ※ゲスト有り
会 場:中野芸能小劇場
料 金:全席自由 3,000円 整理番号付 

■オフィスエムズ http://www.mixyose.jp/
※電話予約:03-6277-7403(10:00~17:00)

 
第3回 9月5日(水)19:00開演
出 演:柳亭こみち ※ゲスト有り
会 場:中野芸能小劇場
料 金:全席自由 3,000円 整理番号付 

■チケットファン
チケットを購入の方はコチラ(チケットファン)
※事前に「チケットファン」の会員登録をしておくと購入がスムーズです
※入会金・年会費無料

■チケットぴあ
チケットを購入の方はコチラ(ぴあ)
※電話予約:0570-02-9999 〔Pコード:485-005〕

■オフィスエムズ http://www.mixyose.jp/
※電話予約:03-6277-7403(10:00~17:00)

———————————————————————————–
 
企画・制作・主催:サンケイリビング新聞社

問合せ:サンケイリビング新聞社・事業部
TEL03-5216-9235(平日10時~17時)

 

 

 

BUTAKOME ファンクラブ
【LINE@ はじめました】
先行販売・お得なチケット情報をお届けします♪

LINEアプリの「友だち追加」から
ID:@butakome を検索するか、
下記の友だち追加ボタンから登録してください。

友だち追加数

 

※画像およびテキストの転載を禁止します。

バックナンバー

インタビュー

海宝直人_後編

海宝直人

<後編>音楽で運ばれていく『ジャージー・ボーイズ』の醍醐味

一覧はこちら

BUTAKOME動画チャンネル

連載☆エンタメコラム

2018/10/10

【中井美穂の幕内対談】Vol.4 殺陣師・栗原直樹さん ▷明日いよ..

open

close

Profile

ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2018/10/30

【早霧せいなのビタミン“S”】其の七.「時には力を抜くこと」

open

close

Profile

長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2018/10/11

尾上松也さんに直撃!「究極のエンターテインメントでランダムスターの人..

open

close

Profile

1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2018/08/06

📹【加藤和樹のエンタメCafe 番外編】〈大阪・梅田..

open

close

Profile

1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
【Official blog】 公式ブログ

2018/09/30

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.6「燃えよタンモ..

open

close

Profile

東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中
【Official HP】 こみちの路

2018/02/23

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.8『勧進帳』

open

close

Profile

木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

NYから直送!「最新ブロードウェイミュージカルレポート」

ブタコメ編集部

関連サイト

  • LIVING
  • CITY LIVING
  • あんふぁん