中井美穂のヅカヅカ行くわよ♪

【中井美穂のヅカヅカ行くわよ♪ Vol.45】浦井健治×中井美穂 Special対談▷『天保十二年のシェイクスピア』2月8日(土)から開幕♪

2020/01/17


 

中井美穂 浦井健治003

 

自分は戯曲と演出家でつくられている
 
中井:浦井さんが2000年に映像でデビューされて、そこからいろいろな経験を重ねてきて。

浦井:そうですね……(今年で)20年だ!(驚き)

中井:わかりやすくていいですよね、2000年デビューって(笑)。ミュージカルだけではなく、ストレートプレイにも出演されて、数々の賞を受賞されてきましたね。

浦井:中井さんも選んでくださったおかげです(※浦井さんが『アルジャーノンに花束を』『星ノ数ホド』で、第22回(2015年)読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した際に選考委員を務められたのが中井さん)。

中井:いえいえ、それは選考委員の皆さんが「浦井さんが素晴らしい」と思った結果ですから。この20年で、エポックになったのはどんなことですか?

浦井:いろいろありますが……、まず、小池修一郎さんとの出会い。

中井:ああ、『エリザベート』ですね。

浦井:そうです。小池先生が僕だけでなく、多くのミュージカル俳優を生んで育ててくださいました。そして、小池先生に育てられた役者が演出をするという時代の動きがあって、映像などにも活躍する場を拡げて。そういう状況の中で、僕らの世代で真ん中にいるのが井上芳雄さん。芳雄さんが王道を行き、みんなが泳ぎやすいように先陣を切ってくれています。

中井:浦井さん自身はその世代の中で、どこの位置にいるのですか?

浦井:僕?ボケ(笑)?いや、僕はね、なんでもいいんですよ。雑草みたいなものですから。僕はプレイヤーなので、みんなが僕を作ってくれるというポジションだと思っているので。

中井:では、「自分である理由は何だろう?」というのはどう考えますか? 自分の個性というか……「自分って何?」って。

浦井:さすがの質問ですね。「自分って何だろう」と思っても答えがないのが、浦井なのかな、と。この20年、俳優を続けてきて、自分は戯曲で作られているというか。戯曲の言葉、演出家の熱量や精神で浦井の思考や選ぶ言葉も作られている。僕はプレイヤーなんだなと思います。

中井:演じていて楽しいですか?

浦井:楽しいですね、苦しいけど。

中井:苦しみはどんなところにあるんですか?

浦井:体力ですね。板(舞台)の上に立つってしんどいですよ。

中井:一番大変だったのは、何ですか?

浦井『ヘンリー六世』(2009年、浦井さんはヘンリー六世役)ですね。(三部作一挙上演で)9時間半の台詞を覚えると、脳みそもびっくりしちゃう(笑)。しかも、(演出の)鵜山(仁)さんが容赦なかった。

中井:では、大ピンチだったのは?

浦井『ヘンリー四世』(2016年、浦井さんはハル王子=のちのヘンリー五世役)。これは二部作で6時間だったのですが、ハル王子はヘンリー六世と違って台詞の熱量が半端ない。フォルスタッフ役の佐藤B作さんも第一部の稽古が終わったとき、「一部だけで勘弁してくれないかな」と言ってましたから(笑)。

中井:その後の戦いのシーンも面白かったですね。

浦井:(ヘンリー四世役の、故)中嶋しゅうさんの長台詞を間近に聞いて、鼓膜が破れるんじゃないかというくらいの(笑)大音量の台詞が今もまだ耳に残ってますよ。父親が息子に継承する台詞だったのですが、しゅうさんの熱量を継承させていただきました。

中井:中嶋しゅうさんはたくさんの若い俳優さんたちの父親のような兄のような道標のような方でしたものね。
たくさんの優れた戯曲を探してきて本当に素晴らしい舞台を作っていらした。早くに旅立たれてしまいましたが、その志、生き方を関わった俳優さんみんなが継いでいるなぁと感じます。
浦井さんにとってもかけがえのない時間でしたね。
 
浦井:そういう思い出のある作品ですし、命を燃やすというのは限りのあることだとも感じるようになりました。この頃は、命を燃やしながらも、オンとオフを意識するようになったかな……。

中井:それはどうやっているのですか。

浦井:水泳で「どう50メートル泳ぎ切るか」と計算するのと同じように、均等に作品のために生きる術を考えるようになりましたね。

中井:いつくらいからできるようになりましたか?

浦井:いつだろう?……『アルジャーノンに花束を』の再演の頃かもしれないです。

中井:そういう術を身に着けるのって、難しいですよね。他の人と同じようにやっても、自分にうまく当てはまるとは限らないですし。

浦井:人によって持っている楽器が違いますからね。人間、手法を真似することは必要だけれど、真似の先は自分しかないですから。自分にはまだわからないです。

中井:浦井さんは自分の中から何か新しいものが出てくるだろう、と探しているところですか?

浦井:そうですね。村井國夫さんが言っていましたが、「何もやらずに舞台に立てるようになったら、いい芝居ができるようになる」と。そういう境地になるには、まだまだでしょうか。(『エリザベート』2008~2009年の)四大都市の公演で、伊礼彼方と一緒に、村井さんからお芝居というものを学ばせてもらいました。

中井:伊礼さんと二人で村井さんの薫陶を受けたんですね。伊礼さんにお話を聞くと必ず、浦井さんの話が出てくるんですよ。伊礼さんとは同じルドルフ役同士で、今も関わりが深いですね。

浦井:彼方がルドルフ役で参入してきた数日後に、稽古場近くのカフェでいろんな話をして、そのとき以来の付き合いです。彼方はことあるごとに「浦井健治と違う路線を行く」と言いながらも、『健治へ』というオリジナル曲のCDを作ってるんです(笑)。

中井:そうなんですか!?(笑)

浦井:僕が出した写真集『彼方へ』の表紙とまったく同じ構図でジャケット写真を撮ってきて(笑)。でも、泣けるくらいいい曲ですよ。

中井:面白い関係ですね(笑)。

 

中井美穂45004

 

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2020/02/29

【早霧せいなのビタミン“S”】其の二十三.「影響しあうこと」

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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2019/06/07

尾上松也さんSpecialインタビュー▷第二回『百傾繚乱』8月24日..

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト

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