中井美穂のヅカヅカ行くわよ♪

岩井秀人×中井美穂 スぺシャル対談▷ハイバイ15周年記念『て』『夫婦』同時上演!

2018/08/10


 

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撮影/吉原朱美

 
今回のゲストは、劇団ハイバイを主宰する劇作家、演出家、俳優の岩井秀人さんです。自意識まみれの困った人々を愛しく見つめて笑ううちに、いつしか不思議な哀歓に襲われる…、そんな作風が多くのファンに支持されている岩井さんは、2012年にNHKBSプレミアムドラマ『生むと生まれるそれからのこと』で第30回向田邦子賞、2013年『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞を受賞した、演劇フリークにはつねにその動向を注視されている精鋭演劇人のひとり。

そしてこの夏、ハイバイ結成15周年記念として、人気作『て』『夫婦』の同時上演が予定されています。
暴力をふるう父親のせいでバラバラに暮らしていた家族が、祖母の認知症をきっかけに再集合。過去の傷を清算しようとするが、しこりはさらに拡大して……。この『て』と、その父親の死で湧き上がる家族の混乱、疑問をドキュメンタリータッチで綴る『夫婦』。二作ともに、岩井さんが自身の家族のことを描いた自伝的作品です。いわゆる“私戯曲”を再演する思い、家族のこと、演劇との関わり方などについて、岩井作品を観続けてきた中井さんとの語らいは、軽やかに展開。朗らかな笑いの中に、味わい深い言葉が詰まった対談となりました。

 

東京以外の場所でやる時は、
演劇そのものに初めて触れる人のことを意識する

 
中井 今回はハイバイの15周年を記念して、『て』と『夫婦』を同時上演するのですね。この二作を同時にやろうと思ったのは、どのくらい前からですか?
 
岩井 ウチでは基本的に、再演をいっぱいしているんですよね。でも世の中的には、新作信仰というのがすごく強いじゃないですか。作家さんが次から次へと、新しい作品を発表していく。やっぱり何が話題になるかと考えたら新作!っていうふうに。でも僕なんかは、たとえば映画とか本でも、すごく面白いヤツって何回も観たり、何回も読んだりするんですよ。で、舞台もやっぱり再演があるたびに観に行く。たとえば『キレイ』とか『東京ノート』とか、『月光のつゝしみ』も…。
 
中井 おお〜、松尾スズキさん、平田オリザさん、岩松了さんの作品ですね。
 
岩井 そうですね。あと、映画館でジム・ジャームッシュ監督作品をやるといったら観に行くとか。
 
中井 ジム・ジャームッシュが好きなんですね!
 
岩井 そう。岩松さんと僕、まったく同じ映画が好きだったんですよ。前に好きな映画の話をしていて、本当に超ルーツ!みたいな映画が一緒でびっくりしました。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』っていう…。
 
中井 懐かしい〜! もうジャスト、私の世代ですから(笑)!
 
岩井 そうなんですね(笑)。どういう時代だったのかっていうのも含めて、すごい興味があるんですよね。90年代の映画としてまとめて観た中でも、なんだこりゃ!と思ったし。だから何回観たかわからない。僕その映画、そのまますっかり台本に落として、日本で撮り直しましたもん。
 
中井 え! 役者さん起用して撮り直したんですか? 日本語で!?
 
岩井 そう、俳優さんを起用して、日本語で。
 
中井 すごいね! それは今、どこにもないんですか?
 
岩井 音声がたぶんダメでしょう。素人だから、マイクとか全然立てないでやってたから。
 
中井 今だったらね〜! 完璧になんでもできるのに。
 
岩井 ね〜残せますよねえ……って、あれ、何の話してた?(一同笑)
 
中井 なぜ同時上演に、って話から、再演をするという話に。
 
岩井 そうだそうだ。基本的に、初演をとにかくやってみて、評判が良かったり、自分の中でこれはもっと続けて、進めていくべきだなと思ったものを再演していく…ってことをメインにやっているんですね。レパートリーを作るみたいにして。で、僕としてはもう、だいたい出揃ったと思っているんです。『て』(2008年初演)と『夫婦』(2016年初演)と、『投げられやすい石』(2011年初演)っていう作品と、『おとこたち』(2014年初演)ですね。なんかまあ、その4本でもう、いいやって。
 
中井 すごいですね、岸田戯曲賞受賞作を落としてる(笑)。
 
岩井 そうすね、『ある女』(2012年初演)ね、フフフフ。
 
中井 え、『ヒッキー』はもういいんですか?
 
岩井 『ヒッキー・カンクーントルネード』(2003年初演、ハイバイ旗揚げ作)のほうはもういいかなって。『ヒッキー・ソトニデテミターノ』(2012年パルコプロデュース初演)は言いませんでした?
 
中井 言ってないですよ(笑)。
 
岩井 そうか、じゃあそれ入れて5作。5作あれば、一年間にやりきれなかったりするでしょう。だから、再演したい作品がつねにあるんですよね。それで15周年に何をやるかと考えた時に、『て』もやりたいし、『夫婦』もやりたい…。東京芸術劇場って確か、シアターイーストとシアターウエスト、劇場が二つ並んでるよね…と思いついて。
 
中井 15周年ということで、この二作を。ハイバイさんにとっては名刺のような作品ですよね。もし私が、小劇場でまだ一度も芝居を観たことがないって人に「何を観たらいいですか?」と聞かれたら、『て』を勧めると思う。
 
岩井 ありがとうございます。僕らとしてもそんなふうに思っているので、今回『て』だけは地方公演もあるんです。中井さんがそうおっしゃってくれたように、僕もこの作品にはすごく思い入れが強い。でも今は絶対に作らない作品なんですよね。ここまでしっかりした構造の、行儀のいい見せ方をしたものを作る真面目さは、もうなくて(笑)。
 
中井 へえ〜、真面目さ、ですか。
 
岩井 そうですね。今になって思うけど、芝居という括りの中でも、非常にレベルの高いことができていると思うんですよ。それは劇団ならではの部分で、たとえばドアの描写とか、お母さん役をおじさんがやるとか、お祖母ちゃん役を若い人がやるけど、とくに年寄りのように演じ分けないとか。ほどよく新しくて、でも、これまでの文脈で芝居というものを観てきた人たちを裏切らない、みたいな。今見ると、もう超真面目なんですよ(笑)。
 
中井 高い評価を受けて、再演もして、地方公演に持っていっても、誰もが置き去りにされることなく楽しめる。そういうことはすごく重要ですよね。
 
岩井 本当にそう思います。東京以外の場所でやる時は、お客さんをたくさん呼びたいって気持ちもあるけれど、ウチの演劇を見て、演劇そのものに初めて触れる、という人のことを意識するから。いろんな文脈の演劇を経てきている東京のお客さんとは、目線がちょっと違うことを気にしておかないとヤバいよな、って。そう考えると、『夫婦』はまだどうなるかわからないんですよね。次はまた演出を変えると思うから。この『夫婦』も、僕が『て』を作った時には絶対に作れない構造というか。暴君だった父親の死、それをめぐるさまざまな出来事を感じた通り、エッセイみたいな感覚で書いていったので。もうグワングワン気持ちが揺れながら書いていたから(笑)、まったく客観的じゃないんですよね。でもそもそもが、客観的に作らないことを目的とした作品だったと思うんですよ。

 

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見ている人に、自分の生きてきた道を
また辿るような時間を持ってもらいたい

 

■□■BUTAKOME☆Information ■□■
 
『て』&『夫婦』

ハイバイ15周年記念同時上演
『て』&『夫婦』

作・演出:岩井秀人

 
『て』

出演:浅野和之、平原テツ、田村健太郎、安藤 聖、岩瀬 亮、長友郁真、今井隆文、能島瑞穂、湯川ひな、佐野 剛、松尾英太郎、猪股俊明

日程:2018年8月18日(土)〜9月2日(日)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト

日程:2018年9月7日(金)~8日(土)
会場:高知県立県民文化ホール オレンジホール(舞台上舞台)

日程:2018年9月15日(土)〜16日(日)
会場:アルカスSASEBO 大ホール特設劇場

日程:2018年9月22日(土)〜23日(日)
会場:伊丹市立演劇ホール AI・HALL

 
『夫婦』

出演:山内圭哉、菅原永二、川上友里、遊屋慎太郎、瀬戸さおり、渡邊雅廣、八木光太郎、岩井秀人

日程:2018年8月23日(木)〜9月2日(日)
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト

 
【東京公演料金】
一般 前売(前半割): 3,800円 当日:4,000円、
一般 前売:4,300円 当日:4,500円、
学生 前売・当日共:3,000円(受付にて要証明)、
高校生以下 前売・当日共:1,000円(前売は東京芸術劇場窓口のみ販売、要証明)

セット券(指定):7,500円
(東京芸術劇場ボックスオフィスにて6月9日(土)~前売のみ取扱、数量限定で販売)

東京公演お問い合わせ:ハイバイ 070‐3294‐4761

 
※公演の詳細は公式サイト

※未就学児入場不可

 

 

 

 

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2018/08/10NEW

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Profile

ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2018/07/31

【早霧せいなのビタミン“S”】其の四 .「幸せを届けること」

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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2018/07/17

尾上松也のエンタメ異文化交流録▷ミュージカル『モーツァルト!』

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2018/08/06

📹【加藤和樹のエンタメCafe 番外編】〈大阪・梅田..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
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2018/07/23

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.4「シュークリー..

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東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中
【Official HP】 こみちの路

2018/02/23

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.8『勧進帳』

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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