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イラサリマケー(居酒屋・改)他

2009/05/14


0424014月24日(金)19時から、第2回「J亭談笑落語会」が開催されました。

今回は、立川龍志さんをゲストに迎え、4つの演目が
語られました。その解説を広瀬和生さんにいただきました。

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『イラサリマケー(居酒屋・改)』

 新宿西口。一人で気軽に飲めそうな店を見つけて入った男を出迎えたのは「イラサリマケー!」と叫ぶ異国人の店員さん。他に客は一人も居ない。「生をもらおうか」「ダイナ マイト、チュウナマイトあるよ」「…大ナマと中ナマね。グラスでちょっと飲みたいんだけど」「コナマイキ? わかった。このお客さんコナマイキー!」 持ってくるときは「オマタケ、デマシタ!」、熱燗大徳利を頼むと「オオドクイリ!」と、微妙にズレた言葉遣いが気になる。店員は皆、同じ国から来た異国人ばかりのようだ。「みんなどこから来たの?」「ビルマだよ」「あ、ビルマね。…ああ、違うよ、今はそれミャンマーって言うんだよ」「…ビルマだよ」「いや、確かにあなた達にとってはビルマかもしれないけど、日本も外国でジャパンって言われるのと同じで、日本ではビルマはミャンマーって言うことになってるの」 すると店員、泣きベソをかきながら「ビルマだよ!」と頑なに繰り返す。奥の店員達も次々に「ビルマだよ!」「ビルマだよ!」「ビルマだよ!」と興奮して騒ぎ出す。「わかったビルマでいいよ」と譲ると、「いい人だよミズシマー!」と店員はニッコリ。

 「今日のオスメス、エロエロあるよ」と言われて「何ができるの?」と訊くと、「ネコミに、イマダメ、ユビクライ、テサバキ、チンコナメアゲ、オメコナメオロシ、イカナイトシロートタイカイ」「…え?」「だから、ネコミに、イマダメ、ユビクライ、テサバキ、チンコナメアゲ、オメコナメオロシ、イカナイトシロートタイカイ」「色々言いたいけど最後の『行かないと、素人大会』で全部吹っ飛んじゃうんだよなぁ…」 万事がこの調子で疲れた心が癒されない客、帰ろうとすると勘定書きがまたとんでもなくて……。

 『ずっこけ』の前半部を三代目三遊亭金馬が独立させた『居酒屋』をベースにした改作…というには全く原形を留めない爆笑編。『居酒屋・改』というよりファンの間では『イラサリマケー』として浸透している。

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042402『河内山宗俊』

 十八万六千石の大名松平出雲守の江戸屋敷。昼間から酔っ払っている出雲守の前には、囚われの美女お波。黒門町の質屋上州屋彦右衛門の一人娘で、行儀見習いで屋敷に上がったところ、あまりの美しさに横恋慕した出雲守は権柄づくで妾にしようと座敷牢に囲い込んだ。だが、頑として言うことを聞かないお波。「かくなるうえは、そちの命、申し受けるぞ!」

 そこへ到着した一品親王宮家使僧道海、その正体は娘お波を救う仕事を五百両で上州屋から請け負った河内山宗俊。「上州屋は親王様の良き碁敵。その上州屋の娘に出雲守殿が側女になれとのお戯れ、ならねば手打ちとは理不尽の至り。親王様にも御気色悪しく…」と江戸家老小林大膳に告げると小林大膳慌てふためき「命に代えても殿をお諌め申します」と出雲守の許へ。親王の機嫌を損じて大事に至れば家は断絶、身は切腹。それだけは避けねばなるまいと出雲守、大膳に「よしなに計らえ!」と言い残し、奥へ下がる。

 お波を連れて帰ろうとする宗俊。去っていくお波を未練たっぷりに覗き見る出雲守…と、「どこかで見た坊主…あっ! あれこそは御数寄屋坊主の河内山! 大膳、取り逃がすな!」「ハッ!」 小林大膳、槍を取って河内山の鼻先に突きつけ「御数寄屋坊主の河内山、動くなっ!」 だが河内山は動じない。「御数寄屋坊主の河内山宗俊ならどうしようってんデェ! 吹けば飛ぶよな微禄ながら河内山は直参、大名風情がこのクビ飛ばそうもんなら、十八万六千石もフッ飛ぶぜ!」 どうしたものかと思案に暮れる小林大膳……。

 歌舞伎、講談、映画、小説、TVドラマ等で有名な文化文政年間のダーティー・ヒーロー河内山宗俊。これは談笑が独自に創作した噺で、師匠立川談志の十八番『慶安太平記』『小猿七之助』『白井権八』等に通じる味わいを持つ、談笑言うところの「ハードボイルド落語」。現在、談笑の他に河内山宗俊の落語版を演っているのは五街道雲助だけだという。

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立川龍志『短命』



立川龍志

立川龍志(たてかわりゅうし) 1948年東京向島生まれ。1970年4月 立川談志に入門 前座名「金志」 、1976年7月 二つ目昇進、「金魚家錦魚」、 1987年3月 真打昇進、「龍志」 襲名。 国立花形若手演芸会にて新人賞 銀賞を受賞。


 伊勢屋の婿がまた死んだ、これで三人目だ、一体なぜあそこの婿はみんな早死になのかとご隠居に訊きに来た八五郎。ご隠居は、「あそこのお嬢さんの器量が良すぎるほど良くて、店のことは番頭任せで暇があり、いつも二人っきり…そりゃ亭主は短命だな」と、露骨な表現を避けて遠まわしに教えようとするが、八五郎はなかなか理解しない。「ご飯食べるのだって二人っきりだろ? ご飯をよそってアナタと差し出すお嬢さん。手と手が触れる、顔を見ればいい女、あたりを見ると誰もいない…オマエ、ここで飯を食うか!?」「手と手が…あっ! ひょっとして、触れるのは手だけじゃない!?」とようやく理解した八五郎、家へ帰って早速女房にご飯をよそってもらい……。

 今回のゲストは立川流一門の兄弟子、立川龍志。一九四八年生まれで一九七一年に談志に入門、一九八七年に真打昇進。軽い滑稽噺を飄々と演るのがやけに可笑しく、また一方で、談志十八番の『らくだ』『五貫裁き』等の大ネタも得意とする。談志が立川流を創設する以前の弟子たちは上手さと個性を兼ね備えた実力派揃いで、龍志もその一人。立川流創設以後の弟子には無い「寄席芸人」的な雰囲気を漂わせる、愛すべき噺家だ。『短命』は師匠談志の十八番の一つだが、龍志はその亜流に終わらず、自分の噺として独特の楽しさを味わわせてくれる。


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042403『ジーンズ屋ようこたん』

 ジーンズ業界の最先端、岡山県倉敷市児島。ジーンズにダメージを付ける工場の職人・久三が寝込んでると聞いて社長が理由を尋ねると、恋わずらいだという。相手は「近藤ようこたん」というトップアイドル。社長は、忘年会にようこたんを呼ぼうと事務所に電話をかけて交渉するが、一億円のギャラを要求される。こちらから東京に出向いて会って話をするだけでも七百万円。久三は「一目会うだけで充分」と、生活費を極端に切り詰めて三年で七百万円貯める。

 「ただ金を持って行ってもジーンズ工場の職人じゃ会えない。オマエは六本木ヒルズのIT企業の社長ってことで、広報誌用のインタビューってことにする。手袋外すんじゃないぞ。インディゴブルーに染まった手はジーンズ工場でダメージつけてる職人の手だ」

 社長の機転でマネージャーに席を外させ、二人っきりでゆうこりんに会った久三だが、何も言えないまま時間切れ。「…泣いてるんですか、社長さん?」と訊かれた久三が真相を明かす。ようこたんはそれを聞いて「私は、あなたが一生懸命貯めた七百万円をもらう価値のあるような人間じゃありません。私はお金儲けの道具なんです。誰も私の中身を見てくれないのは哀しいことですね」と、本当の自分を語りだす。それを聞いた久三、「テレビのあなたは真新しい、ダメージの無いジーンズ。素顔のあなたはダメージがある、だからこそ素敵な、価値のある人だと思います。二十年後、三十年後でも、引退したら、俺の嫁になってください!」「こんな私でも、もらってくれる人いるの?」「ここにいます!」「……来年三月、私の契約が切れます。そしたら私をお嫁さんにしてください」 さあその日から久三は「来年の三月、来年の三月」と……。

 古典落語の名作『紺屋高尾』の現代版。舞台を現代社会に置き換えることで古典落語が本来持っていたはずのリアルな感覚を取り戻す、談笑ならではの「古典改作」の代表的な一席だ。

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J亭 うちあげ話 vol/2

中入り後、談笑師匠が『ジーンズ屋ようこたん』前説で「龍志師匠は、もう打ち上げ会場に向かいました」と。それはネタでなく本当の話。

「談笑クン。悪いね。先に出てるよおー。へへ」

と舞台袖での言葉を残し、早々に会場を出発。

 道すがら、「お世辞でなく快い響きのある会場で、気持ちよく話せた、楽しかったよ」といってくれたことが嬉しい。
 まずはカウンターで軽くビール「酒もたばこも、血の巡りはそのリズムを覚えていて、途中でやめるのは体によくないと医者が言っている。だからやっている人は両方とも毎日やったほうがいい」という納得したい龍志理論を言い聞かされつつ、落語の中の登場人物のような、粋な江戸風情とよもやま噺で、指しつ指されつ、贅沢にも酒付き龍志独演会開始。よくよく顔をみれば、ケーキ屋ケンちゃんシリーズの宮脇健が団塊になって痩せると、こんな感じかという尖がり口で愛嬌のあるお顔。
 ビールでリズムよく飲んで、かなりぺースができあがったころに、談笑師匠ご一行到着。

それを機会に、焼酎に移行。『明るい農村』の注文が相次ぐと、「え?何ぃ?『明るい農村』? 農村が明るいわきゃあ、ありゃあしねえ!へん!」と龍志師匠が語気を荒げたので、すわ爆発か。それを制すべく誰かの一言「うまいですよ」。間髪要れず龍志師匠の「そうなの?」と軽妙に翻った声。気づけばいつの間にか‘明るいわきゃないもの’を「うまいねえ」と快飲中。

 今回の店は新橋4丁目にある「恭恭(きょんきょん)」。コネがあったわけでもなく、ネットで調べた始めてのところ。10人以上の個室がある・遅い時間まで営業・ヘルシー という3条件検索で予約した京都おばんざいの店。
 ホームページ掲載の、是非食べて見たかったおすすめの生シャコ刺、塩モツ鍋、明宝ハムのサラダは食べることなく、おばんざいと「明るい農村」でしこたま泥酔。店の記憶は薄いが、グラスで焼酎を山のように追加したこともあり、割高になってしまったのが残念。(佐)

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藤原竜也×中井美穂☆2019年新春Special対談~舞台『プラトー..

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2019/03/31

【韓国探訪SP☆総集編☆】早霧せいなのビタミン”S" in ソウル ..

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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2018/12/27

尾上松也さんSpecialインタビュー▷平成最後の『新春浅草歌舞伎』..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2018/08/06

📹【加藤和樹のエンタメCafe 番外編】〈大阪・梅田..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
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2018/11/20

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.7「女のお喋り」

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東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中
【Official HP】 こみちの路

2018/02/23

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.8『勧進帳』

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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