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落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成26年3月)<42>

2014/05/29


2014年3月20日(木)、「J亭 春風亭一之輔独演会」。
演目は以下のとおり。

三遊亭わん丈『八九升』
春風亭一之輔『あくび指南』
春風亭一之輔『新聞記事』
~仲入り~
柳家わさび『紋三郎稲荷』
春風亭一之輔『天災』


開口一番は三遊亭圓丈門下の前座、わん丈
耳の不自由なご隠居に女中や番頭が絡む『八九升』は六代目圓生一門では最初に教える噺だとか。あまり寄席などで聴く機会のない噺だ。わん丈は前座とは思えない達者な演者で、将来に大きな期待が持てる。前座で「この人が聴きたい」と思わせる稀な存在だ。

一之輔の一席目は得意の『あくび指南』
柳家喜多八の「オツな年増の師匠が俺にトーンと来てる!」と思い込んで出掛けていく『あくび指南』に一之輔のキャラとフレーズを入れて創り上げた傑作で、何度聴いても本当に面白い。「ゴメンくださいましっ!」「オメェそれがいいと思ってんのかよ!」や「申し遅れました。あっしは町内の若ぇモンで八五郎、職業は、大工です。家、建ててます……二十八歳、独り者です」等々、先生が出てくる前から断然面白い。先生が登場して「お下地は?」と尋ねられた八五郎、最近では「キッコーマンだよ!」と言ったりする。(笑) この日は「早くしてくれねぇかな! さっさと帰るんだからよ!」とやたら八五郎が帰りたがり、先生が「帰らないでください」と引き留めるのが可笑しかった。夏のあくびの稽古に入ってからの楽しさは言うまでもない。

続いて一之輔の二席目はここのところ演ることが多い『新聞記事』
上方落語の『阿弥陀池』を東京へ移した改作で、「新聞なんて読まなくたって何でも知ってる」と豪語する八五郎にムカついたご隠居が「天ぷら屋のタケさんが泥棒に殺された」という作り話を聞かせ、これを面白いと思った八五郎がよそで披露しようとして失敗する、というオウム返しパターンの噺だが、一之輔の演る八五郎はは他の演者よりもずっと豪快なキャラで、作り話になかなか気づかなくて「うるせーなこのヤロー! 黙ってろジジイ!」とキレるあたりも一之輔らしくて素敵だし、何よりよそへ行ってこの話を聞かせようとしてなかなか上手くいかないところでのヒートアップぶりは尋常じゃなく可笑しい。爆笑に次ぐ爆笑、しかもラストはまさかの「それ流行ったの三年前だよ。第一お前の目の前にいる俺は誰だ?」「あー天ぷら屋のタケさん!」 逸品だ。

仲入り後はトボケたフラがある柳家わさび『紋三郎稲荷』を飄々と演じた。
柳家さん生門下の二ツ目だが、このフラは貴重だ。

一之輔のトリネタは『天災』
某雑誌の落語特集(僕も取材された)のアンケートに答えた一之輔が「好きな落語」として『天災』を挙げたのがきっかけで、しばらく演っていなかったこの噺を自分でもまた演るようになったのだという。本人は「難しい落語」と行っていたが、この噺は豪快な芸風の一之輔には絶対に向いているし、実際、この日の『天災』はとても良かった。今はまだ「一之輔だけのフレーズ」といったものは少ないが、これからどんどん演っていけば、もっと面白くなるはずだ。

※画像およびテキストの転載を禁止します。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

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