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落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成28年5月分)<71>

2016/05/17


J亭白酒_02665月12日(木)、「J亭落語会 桃月庵白酒独演会」。
演目は以下のとおり。

桃月庵ひしもち『子ほめ』
桃月庵白酒『抜け雀』
~仲入り~
三遊亭時松『締め込み』
桃月庵白酒『化物使い』

この日の白酒は志ん朝十八番の二席。僕は志ん朝の演目を演じる白酒の高座を観ていると、志ん朝と重なって見える瞬間が時々ある。もちろん、芸風という意味ではだいぶ違うわけだが、その演目におけるその場面ではその演り方が一番聴き手にとって心地好い、という理想型を選択するとそれが即ち「古今亭志ん朝の演り方」である、ということなのだろう。白酒はそういった「古今亭のトーン」というものを基盤にしているから、どんなに暴れても決して古典の世界観を壊さない。本人に言ったら嫌がるだろうが、それが「江戸の風」っていうものなのだろう。

白酒『抜け雀』は宿の主人の気弱さと女房の強さが際立っているが、決してそれだけではない。度外れて高圧的な態度を取る絵描きもまただいぶ変なキャラだ。でも白酒の落語の面白さはそういった個々のキャラの可笑しさに依存しているわけではない。硯に水を入れてこなかった主人に対して絵描きが「だから貴様はダメなんだ!」と一喝すると主人がすかさず「全否定?」と返す、この「間」と「トーン」と「表情(仕草)」。白酒の落語は全編それらが絶妙で、そこに「キャラ」と「フレーズ」の妙が絡み合うことで独特な世界を作りあげている。ちょっとした台詞でも可笑しさが倍増するのである。

仲入り後に登場したのは来年春に真打に昇進する時松。上手くなった。『締め込み』の女房がとても可愛く描けていて気に入った。口調にクセがないのもいい。先が楽しみだ。

トリネタ『化物使い』、前半は杢助(奉公人)のキャラが可愛い。この噺は誰もが志ん朝の完璧な演出をそのまま踏襲しがちだが、白酒はそれをせず、しかし志ん朝の『化物使い』の「可笑しさのエッセンス」は見事に体現している。化物たちが出てくる後半では一ツ目小僧に対する徹底的な小言の嵐が最高だ。次の大入道では「親御さんも大きかったのか?」と訊いたり、のっぺらぼう登場には「ああ、そうか、ろくろっ首のほうかと思ってた」と言ってみたり。のっぺらぼうの女に露骨にスケベ心を見せるあたり白酒らしい。最後に正体が露見して「だったらのっぺらぼうだけでよかったのに」には笑った。『火焔太鼓』『船徳』『明烏』などもそうだが、今日の『抜け雀』『化物使い』もまた、「志ん朝の型」に囚われず自在に演じる白酒という存在の大きさを如実に示していると言えるだろう。

※画像およびテキストの転載を禁止します。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

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