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落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成28年7月分)<73>

2016/07/18


一之輔_MG_7209 H7月14日(木)、「J亭落語会 春風亭一之輔独演会」。
演目は以下のとおり。

春風亭朝七『たらちね』
春風亭一之輔『夏どろ』
春風亭一之輔『千早ふる』
~仲入り~
林家はな平『紀州』
春風亭一之輔『千両みかん』

一之輔の一席目は『夏どろ』
柳家小三治が、三代目金馬や五代目小さんとはまるで異なる演出を(三代目小圓朝の型を基盤として)考案して俄然面白くなった噺だ。最近では橘家文蔵の得意ネタとして知られるが、文蔵も、そして一之輔も小三治由来の演り方で、人のいい泥棒が住人の「殺せぃ!」という迫力にビビリながら有り金を全部まきあげられる可笑しさを、一之輔は持ち前の大きな地声を活かして見事に表現している。文蔵の場合はビビる泥棒の気弱さと泥棒のドスの効いたキャラとの対比が際立っているが、一之輔は泥棒の人の良さと住人の図々しさが特徴的。去り際の「悪いね、わざわざ来てくれて」「うん、って言いそうになったよ!たまたまだよ、たまたま!」なんて会話に一之輔らしさが感じられる。

二席目は『千早ふる』
一之輔『千早ふる』は他の演者の『千早ふる』とは全く別の次元に行ってしまった爆笑ネタにして「本人が楽しんでる」感満載の素敵な作品だ。八五郎が来るなり「今ハードディスクに溜まった録画を消してて忙しいから」とすぐに帰そうとする隠居の豪快なキャラは空前絶後。「いい男はカリフラワー・カリフラワー、いい女はブロッコリー・ブロッコリー」に始まる「歌の意味の説明」の暴走っぷりは一之輔の独擅場、爆笑の連続だ。「江戸中末期の相撲取り竜田川の口が臭かったと『月刊相撲』に32代前の杉山さんが書いてる」とか、もう何でもあり!にしても聴く度にパワーアップしているのが一之輔の凄いところ。「千早の本名」で終わらず辿り着いたサゲもくだらなくていい。

ゲスト林家はな平の地噺『紀州』は「キシューッ!」で終わらず、それを聴いた尾張公が「ああ、やっぱり余はおわりじゃ」でサゲる演り方。堅実で聴き心地の好い一席。

一之輔のトリネタは『千両みかん』
みかんを買ってきますと若旦那に約束した番頭、旦那に「七月にみかんは売ってるのか?」と言われ「あ、そうか!何言ってるんだろ俺。ははは、無いや」という軽い言い方が旦那をイラッとさせるところ、八百屋での「…あるわけないですよね」「何それ!気分悪いよ」「ないでしょ」「あるよ」「みかん」「あるわけねぇだろっ!!」というやり取り、晒し首を女房と一緒に見物に行ったことのある八百屋が晒し首の実態を念入りに描写して番頭を怯えさせた後の「おーい、おっかぁ、また見られるぞ!……ゴメン、泣かないで」等に一之輔らしさが出るよはいえ、ストーリー性の高い噺だけにハメを外すことなくきちんと演じた印象だ。ここにもっと一之輔自身が「何言ってるんだろう、この人?」と思うような要素が入ってきて「一之輔落語」として進化することを期待したい。いやもちろん今のままで充分面白いのだけど、例えば『味噌蔵』なんかも当初は手堅く演っていた印象だったのが、何度も演っているうちにグングン進化したのを知ってるだけに、期待は高まるのである。

※画像およびテキストの転載を禁止します。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト

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