落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」(平成28年9月分)<75>

2016/09/11


J亭三三_01929月8日(木)、「J亭落語会 柳家三三独演会」。
演目は以下のとおり。

柳亭市楽『浮世床』
柳家三三『笠碁』
~仲入り~
柳家三三『お血脈』
柳家三三『蜘蛛駕籠』

三三『笠碁』、以前よりグンと良くなった。実年齢を重ねてきたからだけではない。以前は五代目小さんの『笠碁』三三流解釈、という色が強く、どうしても小さんと比べてしまったが、今は全然違う。きっちりと「三三『笠碁』」となっている。それは要するに、随所に「自分の言葉」が出ているということだ。そしてそれは、「台本として」作られた台詞というよりも、三三自身が喧嘩したご隠居二人の「了見」になっているから自然と口をついて出る言葉、という感じだ。特に面白いのが、番頭を相手にブツブツ文句を言う「待ったをした方の」隠居の描き方。そこに三三自身が充分投影されている気がする。最後の場面で「一番来るか!」「よーし行きましょう!」の勢いの良さでドッと笑いを誘うのもさすが。「まだ笠を取らない」でサゲずに続けて「少しくらい水がポタポタしてもいいでしょう」「いや、そうはいかない。久しぶりに打つんだ、水入らずでいきましょう」でサゲ。粋な演出だ。

三三の二席目はこのところ重点的に高座に掛けている感のある<em『お血脈』。これがまた実にいい。マクラからハイテンションで飛ばしてお釈迦様の話に持っていくところの面白さは、「高級チョコレートの言い立て」も含めて三三ならでは。地噺は演者の魅力がそのまま反映されるわけで、今の三三が以前の「テクニック志向の演者」というイメージから完全に脱却したことを物語っている。とにかく全編「エネルギッシュにしゃべりまくっている」という感じで、聴き手をグイグイ引き寄せる。時事ネタのオリジナル・ギャグも大量に交えてテンポ良く進んでいき、一気にサゲに持って行く。ダレ場、まったく無し!

三三はそのまま高座に残って三席目の『蜘蛛駕籠』へ。三三は前回(六月)もこうした「前半で長めの演目、後半は滑稽噺を二席」という構成だったが、これは良いアイディアだ。「前半で笑わせ、後半は大ネタで」というのが近年の独演会のパターンとなってきている感があるけれども、必ずしもそうではなくてもいいのだ、という逆転の発想を三三は身をもって教えてくれている。演者として一皮剥けたことが、こういうところからもうかがえるのではないだろうか。『蜘蛛駕籠』は駕籠かきを翻弄する酔っ払いの描き方が秀逸。いかにも面倒くさい酔っ払いで笑える。充実した会だった。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

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