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落語「J亭」

広瀬和生の「J亭を聴いた」第4回大手町二人会 白酒・一之輔(平成30年9月分)<95>

2018/10/12



「J亭スピンオフ企画 隔月替わり二人会」、
9月20日(木)「白酒・一之輔」二人会。演目は以下のとおり。

金原亭馬久『臆病源兵衛』
春風亭一之輔『のめる』
桃月庵白酒『首ったけ』
~仲入り~
桃月庵白酒『権助魚』
春風亭一之輔『三井の大黒』

開口一番は二ツ目になってもうすぐ3年になる馬久。演じたのは先代馬生の演目『臆病源兵衛』で、従来のサゲは死んだと思い込んで根津を彷徨う八五郎が出会った老婆の「娘のおかげで極楽だ」という台詞。一之輔もその演り方だが、このサゲは今イチわかりにくく、この後に高座に上がった一之輔は「三大キョトーン落ちのひとつ」と言っていた。なので白酒はこれを改め「地獄に仏だ」とサゲていて、これは実にわかりやすい。この日の馬久は老婆が従来のサゲの台詞を言った後、八五郎が「ギャーッ!」と叫んで逃げて行き、老婆が「あんな怖がり見たことねぇ」と呟いてサゲた。

一之輔の一席目は『のめる』。「つまらねぇ」が口癖の半公と「一杯飲める」が口癖の八五郎が互いにそれを口にしたら一円払うという賭けをする。その賭けに勝つ方法をご隠居に聞きに行った八五郎の物わかりの悪さとそれにイラッとするご隠居のやり取りが最高に可笑しい。「沢庵大根100本、醤油樽に詰まろうかね」作戦を授けられたのにロクに聞こうともせず適当に応対し、いちいちどうでもいい反論をし、「それ、やらなきゃダメですかね」と嫌がる八五郎は一之輔だけだ。イラッとして「帰れ!」とキレるご隠居という構図は一之輔版『短命』を思わせる。半公の許を訪ねる八五郎の異様な興奮ぶりと半公の対応に狼狽える様子もバカバカしくて素敵だ。半公に返り討ちにあってご隠居から反撃の詰将棋作戦を教わった八五郎の「できれば大根よりこっちが先じゃないですかね」という指摘にも笑った。従来の『のめる』の形を崩すことなく、登場人物を生き生きと演じることで、このシンプルな噺をここまでの爆笑編にする一之輔は本当に凄い。

白酒の一席目は志ん生の演目として知られる廓噺『首ったけ』。馴染みの紅梅花魁が来ないのでイラつく辰五郎と、それをなだめる若い衆……この若い衆の客を小バカにしたような態度がなんとも可笑しい。紅梅が来て二人の仲が険悪になってくると、この若い衆はとりなすどころか火に油を注いで喧嘩を煽る。この、辰五郎が怒って見世を飛び出すまでの可笑しさは白酒ならでは。冒頭、杢兵衛の部屋でのドンチャン騒ぎにイライラして聞こえよがしに「うるせぇな!」とアピールする辰五郎が他の客から「テメェがうるせぇ!!」と一喝されるのも最高だ。向かいの見世に飛び込んで新たに辰五郎が馴染みになる花魁の名は志ん生の「若柳」ではなく、白酒は「青柳」で演じている。その後、吉原が火事になって駆けつけた辰五郎がお歯黒ドブに落ちた紅梅と出会う……と、普通ならここからが「ドラマ」になるところだが、言葉遊びでスパッとオチにする落語ならではの無責任さ、淡泊さが素敵な噺だ。

仲入り後は再び白酒が登場して『権助魚』白酒の演じる田舎者は実に楽しい。冒頭、ヤキモチ焼きのおかみさんが自分に惚れたと思い込んだ権助が「どうしてもって言うなら一度くらい願いを叶えてやる」という台詞は「白酒の権助」だからこそ可笑しさが何倍にもなっている。正味10分でトントンと演じてワッと笑わせ、サッと降りた。白酒『権助魚』は普段あまり観ることがない気がするが、入れごとをせず「落語の上手さ」だけで爆笑させる白酒の底力を目の当たりにした一席だ。

一之輔のトリネタは左甚五郎の逸話『三井の大黒』。ここのところ師匠の一朝がよく演っている演目だ。一之輔は一昨年の「一之輔三夜」でネタ下ろしした。「ポンシュウ」と名付けられた甚五郎はトボケた中にもどこかお公家さんみたいな品の良さを漂わせ、与太郎っぽさは皆無。一朝の甚五郎も素直なキャラが魅力的だが、ヘンなアクセントでしゃべる一之輔の甚五郎も、実に可愛い。腕の良くない職人連中のワイワイガヤガヤの楽しさは一之輔の独壇場。江戸っ子らしい棟梁にも貫録もあっていい。この棟梁が女房に「初めて会った時にポンシュウに胸をワシ掴みにされた」と打ち明けるあたりはまさに「愛のある」一之輔落語の世界。以前聞いたときよりも一層「一之輔らしさ」が随所で感じられる、後味爽快な『三井の大黒』だった。

 

■□■BUTAKOME☆Information■□■
 
J亭 スピンオフ企画
白酒・三三・一之輔 隔月替わり 大手町二人会
 
会 場:大手町日経ホール

開演時間:19時

料 金:全席指定3,800円

※未就学児童入場不可
 
<次回公演>

[五]11月22日(木)
出演:白酒・三三

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<今後の公演予定>
※青文字はトリ
[六]2019年3月7日(木)
出演:三三・一之輔
発売予定:2018年11月下旬

[七]2019年5月16日(木)
出演:白酒・一之輔
発売予定:2019年3月上旬

[八]2019年7月25日(木)
出演:白酒・三三
発売予定:2019年5月中旬

[九]2019年9月19日(木)
出演:三三・一之輔
発売予定:2019年7月下旬

[十]2019年11月21日(木)
出演:白酒・一之輔
発売予定:2019年9月下旬

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企画・制作・主催:サンケイリビング新聞社

問合せ:サンケイリビング新聞社
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尾上松也

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2018/10/10

【中井美穂の幕内対談】Vol.4 殺陣師・栗原直樹さん ▷明日いよ..

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
【Official HP】 中井美穂 INFORMATION
【Official blog】中井美穂(アメブロ公式)

2018/09/21

【早霧せいなのビタミン“S”】其の六.「太陽を浴びること」

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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

2018/10/11

尾上松也さんに直撃!「究極のエンターテインメントでランダムスターの人..

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1985年1月30日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。
5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。様々な分野で活躍し、歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。09年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作に舞台:『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『アンタッチャブル』、『男の花道』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「天地人」、「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年は6月からはミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役としての出演。8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催する。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト
【Official blog】松也日記(アメブロ公式)  
【自主公演サイト】挑むオフィシャルホームページ  

2018/08/06

📹【加藤和樹のエンタメCafe 番外編】〈大阪・梅田..

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1984年10月7日生まれ。愛知県出身。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。
日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE“GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「“KK−STATION”TOUR」や、日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。

同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」「乾杯戦士アフターV」などに出演するほか、アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」「イケメン戦国」「B-Project」などで声優としても活躍。

近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月・5月『1789 バスティーユの恋人たち』で帝劇初主演、9月~10月『真田十勇士』霧隠才蔵役に挑む。2017年1月ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演決定。

【Official HP】 公式サイト
【Official blog】 公式ブログ

2018/09/30

【柳亭こみちのちょいと一回のつもりで聴いて】Vol.6「燃えよタンモ..

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東村山市出身。2003年、七代目柳亭燕路に入門。前座名「こみち」。2006年、「こみち」のまま二ツ目昇進。2017年、「こみち」のまま真打昇進。歌って踊れて落語のできる女、老若男女から友達になりたいと思われるような噺家を目指している。亭主は漫才師「宮田陽・昇」の宮田昇。漫才師と落語家の夫婦は史上初。二児の母として真打に昇進したのも、落語史上初。「落語坐こみち堂」「なかの坐こみち堂」をはじめ、日々多数の落語会に出演し、ナレーション、講演活動、執筆活動、学校寄席への出演も多々。こみちが大きな出世街道となるよう、鋭意奮闘中
【Official HP】 こみちの路

2018/02/23

【木ノ下裕一の歌舞伎の“ツボ”】 Vol.8『勧進帳』

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木ノ下歌舞伎 主宰
1985年7月4日、和歌山生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の演出や補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。
『黒塚』(’13)、『東海道四谷怪談—通し上演—』(’13)、『三人吉三』(’14)、『心中天の網島』(’15)、『義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー』』(’16)
2015年に再演した『三人吉三』にて読売演劇大賞2015年上半期作品賞にノミネートされる。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2015年3月に博士号(芸術博士)取得。

【Official HP】木ノ下歌舞伎 公式サイト
【Official Twitter】木ノ下裕一 Twitter

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