MICHIMARU劇評

【MICHIMARU劇評 第2回】劇団四季ミュージカル『キャッツ』▷ 変わるもの、変わらないもの

2018/11/14


 

『キャッツ』

撮影:下坂敦俊

 

『キャッツ』 変わるもの、変わらないもの

 
約6年ぶりに、劇団四季の『キャッツ』が首都圏に帰ってきた。今年7月、創立者で劇団の支柱だった浅利慶太氏が亡くなり、浅利亡き後の劇団の進路に注目が集まる中、初演から35年を迎えた『キャッツ』は変わるものと変わらぬものの尊さといとおしさを教えてくれる。

 
登場するのは24匹の個性豊かな猫のみ。人間が一切出てこないという発想の新しさと、ミュージカルの原点といえる激しいダンスと美しい歌が『キャッツ』の魅力だ。専用劇場という猫たちの〝アジト〟を舞台に繰り広げられる一夜の物語は、私たち人間社会の縮図であり、生きていく上での「救い」の物語でもある。

今公演では、日本初演時にあった「ランパスキャット~けんか猫」のシーンが再び登場。犬たちの喧嘩を圧倒的な迫力でおさめてしまうランパスキャットの活躍はロンドンやニューヨークでは定番だが、日本では長らく見る機会がなかった。これまで影が薄かった犬の存在を1シーンまるごと追加して見せることで、ラストの「猫は犬にあらず」の歌詞も効いてくる。

 

『キャッツ』

撮影:荒井健

曲調やダンスなど海外と足並みをそろえた一方で、海外では短縮されることもある劇場猫、アスパラガスの若き日の迫力の活劇シーンは健在。昔は良かった、と輝かしい青春時代を懐かしむガスの〝郷愁〟に向けられる客席の温かなまなざしは、鉄道猫のシーンを支える客席の手拍子とともに、初演から35年を経て日本の観客が育ててきた財産といえる。

 

『キャッツ』

撮影:荒井健

マジシャンやら泥棒やら猫の「個」性にフォーカスした作品ながら、種としての猫の高度なアンサンブルも求められる『キャッツ』。「ジェリクルソング」でのハーモニーの美しさ、泥棒コンビのマンゴジェリー玉井晴章)とランペルティーザ山中由貴)の息の合った絡みなど、劇団ならではのチームワークは間違いなく日本の強みだ。海外では人気スターが派手に演じることで「哀れな娼婦猫」という立ち位置が揺らぐこともあるグリザベラ役を演じた江畑晶慧は、抑えの歌唱を聞かせ客席の涙を誘う。皆からさげすまれ何の取り柄もない(ように見える)猫が選ばれ救済される作品の持つ深いメッセージを、日本版はぶれることなく伝え続けている。

 

『キャッツ』

撮影:下坂敦俊

海外公演の良さも取り入れつつ、初演から続く日本の良さも守る。まさに変わりながら守り、守りながら変わるその姿に、浅利亡き後の劇団の可能性を感じる。『キャッツ』の観劇を機に、ミュージカルの世界を志したという俳優も増えてきた。2019年3月には日本公演通算10,000回を達成する。

新作ミュージカル『パリのアメリカ人』の開幕を来年1月に控え、新たな挑戦も続ける劇団四季。長年にわたり日本のミュージカル界を牽引してきた秘訣は、古いものも新しいものも飲み込んだ上で新たな魅力を発信する絶妙なバランス感覚にあるのかもしれない。東京・大井町の「キャッツ・シアター」にてロングラン公演中。

 
※キャストは筆者観劇日のもの

 

 
道丸摩耶(みちまる まや)■
プロフィール
産経新聞記者。文化部、SANKEI EXPRESSの演劇担当を経て、観劇がライフワークに。
幼少時代に劇団四季の「オペラ座の怪人」「CATS」を見て以来、ミュージカルを中心に観劇を続けてきたが、現在は社会派作品から2.5次元作品まで幅広く楽しむ。
舞台は総合芸術。「新たな才能」との出会いを求め、一度しかない瞬間を劇場で日々、体感中。

 

■□■BUTAKOME☆Information ■□■

キャッツ

劇団四季 ミュージカル『キャッツ』

日時:
■12月公演
12月21日(金)13:00 ⇒ 残席僅か
 

会場:キャッツ・シアター
 
料金:S1席 1万1,880円
※2歳以下の入場不可、公演当日3歳以上有料(膝上観劇不可)
 
チケット購入はコチラ(チケットファン)へ

 
※詳細は公式サイト
 

 

 

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Profile

ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト

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ブタコメ編集部

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