演劇・ミュージカル

【製作発表レポート】東宝 ミュージカル『エリザベート』~20周年アニバーサリー▷2020年 四大都市連続公演決定

2019/11/28


エリザベート20周年1126

 

『エリザベート』は奇跡のバランスで生まれたミュージカル

続いて、記者からの質疑応答が行われました。
 
――これまでの上演を振り返って、どんな演出変更がありましたか?

小池修一郎さん:今まで3バージョンあります。宝塚版はトート中心にテキストを作っていましたが、東宝版初演はエリザベートが軸であるウィーンオリジナル版に寄せる使命がありました。手探りで一生懸命やって、賛否両論があったが刺激的な公演になりました。

ロングラン上演するには適さない部分を調整して、装置の転換のスムーズさなどで変えていった2番目のバージョン。

そして、2015年のときにキャストが一気に若返り、演出を一新しました。ヨーロッパや韓国でも上演され『この作品の受け止め方がこんなにも違うのか』ということを見せつけられ、2015年の自分が考え得る、そして若返ったキャストと一緒に作っていく『エリザベート』ということで今のバージョンになりました。

そもそも『エリザベート』という作品はベルリンの壁が崩壊し、東西イデオロギーの対立という旧体制がなくなって、ハプスブルク帝国のような中央ヨーロッパの復権という新体制が生まれるのを感じて、クンツェさんがお作りになったんです。それから20年以上たって、ウィーンの人たちの考え方も変わってきていると思う。世の中の移り変わりによって、この作品の受け止め方も変わってくるのではないかと思います。

 

――トート役初登場となる山崎さんはどんなトート像を考えているでしょうか?

山崎育三郎さん:氷のように冷たく、触ったらやけどしそうなイメージを持っています。小池先生のこだわりで、(髪型が)真ん中わけのトートなんですね(笑)。宝塚版にも東宝版にもいないトートで視覚的にも注目していただきたいです。
と山崎さんのコメントを受けて、小池さんから「70年代のロックのイメージです、楽しみにしてますよ」とビジュアルのイメージが説明され、井上さんから「僕たちも真ん中分けでどうでしょう?(笑)」と提案して、会場の笑いを誘いました。

 

――作品の魅力と、あなたにとって『エリザベート』とは?
 
花總さん:音楽の素晴らしさは言うまでもないですが、エリザベートはもちろん、同じ時代を生きた人達の人生が3時間の中で色濃く描かれ、どの役に注目しても人生を感じられるます。その中から、自分の人生に重ねていろんなことが感じられて、奥の深いミュージカルだと思っております。
私にとって『エリザベート』は自分の人生を変えるほど、大切な節目となった作品です。初演のときは22歳で、その役を今こうして演じる機会をいただけていることを奇跡だと思いますし、私にとってはなくてはならない作品、役になっています。
 
愛希さん:エリザベートが自分の意志を貫くというのは、あの時代には難しいことだったと思いますが、現代に生きる私たちへのメッセージにもなっているところが魅力だと思います。『エリザベート』はずっと憧れでしたので、演じている今でも夢じゃないかと思う瞬間がたくさんあります。なかなか乗り越えられない壁で、上ったと思ったらまた高い壁が待っていますが、今も憧れの作品です。
 
井上さん:『エリザベート』は熱狂のミュージカルだと思います。演じるたびにびっくりするくらい、お客様が熱狂してくださるけれど、『これは自分の手柄じゃない』と言い聞かせないと、自分に熱狂していると思いかねない(笑)。それくらい、皆さんが喜んでくださるんです。その熱気で日本のミュージカル自体も盛り上がってきたと思う。
作品としては奇跡のようなバランスで生まれたミュージカル。何十年に一本しか出ない作品だと思います。ミュージカルの観客を増やす奇跡の力があるから、チャレンジすることができる。僕のデビューもそのチャレンジの一環で生まれたと思いますし、今でも育三郎くんが新しい役を演じたり、古川くんが役を変わったり、いろんなチャンスを与えてくれる作品です。
 
山崎さん:役者の立場から考えると、歌いたい楽曲が多いところが魅力です。(エリザベートとフランツの)『夜のボート』、(トートの)最後のダンス、(エリザベートの)『私だけに』、……(ルキーニの)『キッチュ』『ミルク』も入れておきます(笑)。『レ・ミゼラブル』もそうですが、ミュージカル俳優が歌いたい曲が多い作品はヒットすると思います。
『エリザベート』はルキーニの台詞から始まりますが、何公演やっても緊張する舞台は初めてでした。やればやるほど魅力はもちろん、難しさを感じています。ゴールが見えなくて、ずっと試されているという感覚があります。
 
古川さん:『僕はこうだ!』と主張する人間ではないので、エリザベートの強い生き方に憧れます。日本人の感覚ではもしかしたら共感できないかもしれないけれど、人間にとっては必要な要素なのかなと。周りの人間も時代も動かし、さらに『死』という超越したものまでを動かしていくエネルギーが、エリザベートの魅力なのかなと思います。
『エリザベート』は僕が今まで出演してきた作品の中でも重厚感が強い作品です。ルドルフで初めて東宝ミュージカルに出演して、次回で5回目の出演ですが、トートまで成長させていただきました。共にミュージカル人生を歩んできた作品だと思います。

 

――この作品の魅力を一文字で表すとしたら?

「思いついた方から順番に」と振られると、率先して手を挙げた井上さんが「『愛』だと思います(笑)。『偉大なる愛だ』と言いますからね」と言い、古川さんが「僕も『愛』で」と続き、花總さんは「エリザベート的には『生』です。どんなことがあっても生きる!」と山崎さんは「『熱』、お客様の熱狂」。愛希さんは「『欲』。人間の欲の部分が人間らしくていいかと思います」とテンポよく答え、キャストの皆さんの息の合った様子がうかがえました。

 

囲み取材では、前回公演が始まる前にトート役起用の話を聞いていたと語った山崎さんが「何かアドバイスくださいよ、先輩」と井上さんに尋ねると「企業秘密なんで(笑)」と答える一幕も。「そういえば、育三郎くんは『歌い方、変えましたね』と聞きに来てくれたり、『自分だったらトート役をどう演じよう』と考えているんだろうなと感じていました」というエピソードを井上さんが明かすと、山崎さんは「トートはルキーニが作り出した存在。トートとルキーニのつながりを感じた役作りをしていたので、僕がトートを演じるときもルキーニとの関係性を大事に演じたい」と述べました。

 

最後にキャストを代表して花總さんが「来年、大阪、名古屋、福岡に行けるのが楽しみ。キャストも全国各地で変わってくるので、盛り沢山で華やかなカンパニーになると思います」と全国公演への意気込みを語りました。

ミュージカル『エリザベート』は熱狂の渦を巻き起こしながら、2020年4月帝国劇場公演を皮切りに、20周年記念公演の幕を開けます。

 

取材・文/演劇ライター・大原 薫
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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト

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