ニューヨークから直送!最新ブロードウェイレポート

演劇ライター・大原薫のNYから直送◎第1弾◎ブロードウェイ最新作!これから日本で見られるミュージカルを先取り♪

2014/11/05


 
NY直送①-5

ミュージカルの名作をリバイバル『ON THE TOWN』

 
10月16日に開幕したばかりのブロードウェイ最新作『ON THE TOWN』。私はプレビュー公演期間中に観劇しました。ちょうど日本でも坂本昌行さん、長野博さん、井ノ原快彦さん主演で9月~10月に上演されたばかりなので(演出・振付は違いますが)、『ON THE TOWN』は日米で同時上演されたことになります。

 
『ウェストサイド物語』で有名な音楽レナード・バーンスタイン(LEONARD BERUNSTEIN)、振付ジェローム・ロビンス(JEROME ROBBINS)によるコンビの作品で、初演は1944年。ジーン・ケリーフランク・シナトラの出演で日本版タイトル『踊る大紐育』として映画化されています。今回はロビンス振付を元として、新たにジョシュア・バーガッセ(JOSHUA BERGASSE)が振り付け、躍動感のあるダンスが見どころになります。特に見応えがあるのがヒロインのアイビーを演じるミーガン・フェアチャイルド(MEGAN FAIRCHILD)のダンス。ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパルダンサーである彼女が華麗なバレエテクニックを駆使して、見事なダンスを披露しています。可憐な雰囲気もあって、歌もお上手でした。

 
ストーリーは、24時間のニューヨーク休暇を許された3人の水兵がそれぞれの恋人を探すというもの。シンプルなストーリーですが、映画版で見たときの「楽しさいっぱいの作品」という印象とは舞台版はちょっと趣が違います。非常に緩急があるというか、楽しさと裏腹にある哀切な部分もしっかり描かれている作品だと感じました。主役のゲイビーは好きになったアイビーとすれ違いのまま会えない時間が続くのですが、彼の孤独感が大ダンスナンバーに発展する「タイムズ・スクエア・バレエ」のシーンが非常に印象的。単純に楽しいだけの作品と思われがちですが、この作品が初演された1944年は第二次世界大戦中。水兵たちの休暇が終わって船に戻った後、もしかしたらもう一度恋人と生きて会うことはないかもしれない……。そんな状況だからこそ、24時間という限られた時間に恋に燃焼し尽くそうという思いもあるのだと感じさせられました。
 
とはいえ、大部分は非常に明るくて楽しいテイストの作品であることに間違いありません。70年前の作品ですが、テンポよいストーリー展開とダイナミックなダンス、ポップな色遣いの衣裳で古さを感じさせない仕上がりとなっています。
ゲイビーを演じているのはトニー・ヤズベック(TONY YAZBECK)。ちなみに彼は米倉涼子さんがブロードウェイで『シカゴ』を演じたときにビリー・フリン役を演じた人で、日本での凱旋公演にも同役で出演していた人です。表現力豊かに演じていましたが、水兵三人が醸し出す友情の絆は、やはり日本版の坂本さん、長野さん、井ノ原さんの方が勝っていたようです。
 
場をさらっていたのはアイビーの先生、ジャッキー・ホフマン(JACKIE HOFFMAN)。文字どおりの怪演で、カーテンコールでは熱い喝采を浴びていました。ブロードウェイで観劇するとよく感じるのは、非常に芸達者な脇役が多いこと。演技力もあり、歌もダンスもできて客席の目をくぎ付けにするパワーがある役者が脇役として存在することで、ミュージカルの世界はさらに広がりを見せられるのだと、改めて実感させられます。

 

次回、第2弾は…
「ニューヨークでしか見られない、話題の最新作」
 
お楽しみに♪

 

大原 薫(おおはら・かおる)■
プロフィール
演劇ライターとして、雑誌(BEST STAGE、Sparkle、ミュージカルなど)や公演パンフレットなどで執筆。ラミン・カリムルー、レア・サロンガ、リーヴァイ・クライスなど海外ミュージカルスターにも精力的に取材する。ブロードウェイミュージカルの魅力に惹かれ、現地でしか味わえない感動を求めて、毎年ニューヨークを訪れ、観劇三昧の日々を過ごしている。一推しのミュージカルスターは『RENT』のマーク役オリジナルキャストのアンソニー・ラップ。アンソニーの自伝的一人ミュージカル『without you』を見るために、アメリカ・ピッツバーグや韓国・ソウルまで脚を運んだ。

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト

NYから直送!「最新ブロードウェイミュージカルレポート」

ブタコメ編集部

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