トニー賞

演劇ライター・大原薫の「見逃せない!第71回トニー賞授賞式ここが見どころ&作品賞・受賞者大胆予想?!

2017/06/10


 
第71回トニー賞2

『恋はデジャ・ブ』より

 

注目を集める話題作

 
『恋はデジャ・ブ』(Groundhog day)

1993年の同名タイトルの映画が原作のラブコメディ。ミュージカル作品賞、主演男優賞など7部門でノミネート。

シニカルな天気予報士フィルは2月2日のグラウンドホッグ・デーのイベントの取材で田舎町を訪れるが、超常現象によって、2月2日を繰り返すタイムループにはまってしまう。フィルはタイムループから逃れられるのか…?

主演のフィルを演じるアンディ・カールは、『ロッキー』『20世紀号に乗って』に続き3度目のトニー賞ノミネート。軽快な音楽とスピーディな舞台転換とコミカルで心温まるストーリーが評価され、ロンドン公演時はオリビエ賞の最優秀ミュージカル作品賞と主演男優賞を獲得した。
 
第71回トニー賞3
 
人気ミュージカル『マチルダ』の作詞・作曲のティム・ミンチン、演出のマシュー・ウォーチャス、振付のピーター・ダーリング、衣裳デザインのロブ・ハウエルが再結集したことでも注目を集める。

 

『ナターシャ、ピエール&ザ・グレートコメット・オブ・1812』
(Natasha, Pierre & the Great Comet of 1812)

最多12部門ノミネートを果たしたのは『ナターシャ、ピエール&ザ・グレートコメット・オブ・1812』。

トルストイ『戦争と平和』を元としたストーリーで2016年11月からブロードウェイでオープニング。
筆者はオフブロードウェイ上演時に観劇したが、当時はディナーショー形式で観客が食事をしながら見るスタイル。客席を回るウェイターたちが実は役者で、観客が座っているテーブルの目の前で繰り広げられるパフォーマンスに惹きつけられた。観客がマラカスを振って演奏に参加するなど、参加型の作品だった。音楽はモダンなテイスト。古典をスタイリッシュに見せる。

『戦争と平和』の一部分をピックアップしたストーリーは観客には馴染みがないからか、プレイビルには珍しくあらすじと人物相関図が乗っていた。

余談だが、ニューヨーカーでもわかりにくい?と言われるストーリーをしっかり把握できたのは、宝塚版の『戦争と平和』を見たおかげだろう(宝塚で見た、麻路さきさん扮するアナトリーが南風まいさん扮するナターシャを誘惑するシーンが、『ナターシャ~』のストーリーの要だった)。

ディナーショー形式で客席参加型の作品とあって、ブロードウェイの劇場での上演に向かないのでは? と思っていたのだが、上演にあたってインペリアル劇場を大改装。センターステージをテーブル席が囲み、キャストが客席をくまなく移動するという臨場感あふれる演出となっている。今までのブロードウェイにはない観劇体験ができる作品だ。

 

『アナスタシア』(Anastasia)

トニー賞には2部門(ミュージカル助演女優賞とミュージカル衣裳デザイン賞)のノミネートだが、観客の人気を集めているこの作品。

アナスタシア2
 
原作は1997年の同名のアニメ映画。映画の楽曲を引き継ぎつつ16もの新曲を加えて、華やかにショーアップさせてみせる大作。プロジェクションマッピングを駆使した豪華なセットも見ものだ。
アニメ版には出てこないロシアの秘密警察グレブ役をラミン・カリムルーが演じている。

アナスタシア1

ラミン・カリムルー(写真左)

 
ロマノフ朝のアナスタシア皇女アナスタシアが8歳のとき、ロシア革命が起こる、逃亡中に記憶喪失になったアナスタシアはアーニャと名乗り、貧しい暮らしをしていた。アナスタシアの祖母の皇太后はパリに亡命し、行方不明のアナスタシアのことを気にかけていた。混乱の時代、一儲けをたくらむディミトリはアーニャをアナスタシア皇女に仕立て上げることを思いつき、アーニャをパリに連れていこうとする……。
 
このストーリーを読んで、「あれ?」と思う方もいるはずだ。そう、宝塚歌劇(雪組)の『彷徨のレクイエム』第3部のストーリーとほぼ一緒なのだ。

同じ「アナスタシア伝説」を題材に扱っているから当然といえば当然だが、タカラヅカファンも心を動かされるロマンチックなテイストが散りばめられたミュージカル。老若男女に親しまれる作品だ。

 

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第71回トニー賞の見どころ&受賞作・受賞者を大胆予想!?

 

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ロサンゼルス生まれ。87年~95年、フジテレビアナウンサーとして活躍。「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」などの番組で人気を集める。
現在、「鶴瓶のスジナシ」(CBC,TBS)、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演。97年から連続してメインキャスターを務めるTBS「世界陸上」をはじめスポーツ・情報・バラエティと幅広い分野のテレビ番組やCMに出演している。
演劇コラムの執筆や、クラシックコンサートにおける司会や朗読などでも活躍中。
2013年~読売演劇大賞選考委員を務める。
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長崎県佐世保市出身。2001年に87期生として宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら2001』。 2014年に雪組トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!』『るろうに剣心』『星逢一夜(ほしあいひとよ)』などで主演を務め、2017年7月『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)/Dramatic “S”!』で、宝塚歌劇団を退団。
退団後初のステージ『SECRET SPLENDOUR』も大好評を博し、2018年5~6月にミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演を務める。

【Official HP】https://seinasagiri.com/
【Official Instagram】seinasagiri_official

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1985 年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。父は六代目尾上松助。1990 年 5 月、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目 尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され、2015年より、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」に出演し、「仮名手本忠臣蔵」早野勘平、「義経千本桜」狐忠信、「義経千本桜 吉野山」佐藤忠信 実は 源九郎狐などの大役を勤める。一方、2009 年からは歌舞伎自主公演 「挑む」を主宰している。

歌舞伎の以外でも、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(2013)ベンヴォーリオ役、「エリザベート」(2015)ルイジ・ルキーニ役、ディズニーアニメーション映画「モアナと伝説の海」日本語吹替版のマウイ役、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK)今川氏真役、初の主演ドラマ「さぼリーマン甘太朗」等、活躍の場を広げている。

【Official HP】 尾上松也公式ウェブサイト

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ブタコメ編集部

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